無駄足とゴリ押し
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「ふぇ?」
竜とバルドル達が争う、その戦場に近づいてきたサツキは目の前に突如として現れた、巨大な鉱石の壁に息を呑んでいた。
「何これ?壁?なんか地面から盛り上がってきたんだけど?」
サツキはペタペタと壁の表面を触りながら謎を解決すべく壁沿いに歩き出した。
(まあ壁ならちゃんと終わりがあるだろうし、歩けば中に入れるだろ)
そんな楽天的な思考でサツキは壁の終わりを探し始めた。
……
「元の場所に戻ってる!」
サツキの目論見はハズレ、壁に終わりはなく、ある程度の空間を囲むように円を描いている事それだけがサツキが歩いたことによるただ一つの収穫だった。
無駄足…。
「上側も丁寧に蓋してくれちゃってさ、何のつもりなのかね」
壁の上側は、全ての壁が一点に向かって集まっており、その地上に現れた建造物(?)は地上を面として現れた半球のようだった。
「それにしても硬いな」
サツキはコンコンと外壁を軽く叩きながら言った。
「なんか色々な金属が混ざってるし、かと言って金の部分が柔らかいというわけでもない…なんじゃこりゃ」
地中にあった金属を魔法によって引き摺り出し、それを魔法という形で魔力によって強化、よってその外壁は金属に関わらず凄まじい硬度を保っていた。
「まあかといって破れぬはずもなし」
サツキは「舌先現象」を解除し押さえていた魔力(?)を引っ張り出した。
「こいつをまず循環」
サツキの身体を魔力(?)が満たし流れが速くなってゆく。
「次に細部へと集中」
サツキは自分の体をめぐる魔力(?)が通っている道、魔力線を知覚した。
(魔力線が魔力に耐えられないのなら、耐えられるようにすればいい)
サツキは本能的に、解放された魔力(?)の上澄みを集めそれを使って魔力線に「身体強化」を施した。
(まあこれならいけるだろ)
魔力に混ざる魔力(?)、その後者の濃度が高くなるよう意識しつつ、壊れた左腕に魔力を集める。
「壊れてるんだからこれ以上壊れても一緒」
そんな破滅的考えのもと、左腕に魔力を集めたサツキはピタリと壁に掌をつけ言った。
「魔力砲」
質問…魔力を帯びた壁を壊すにはどうすればいいですか?
今まさにその実例が…。
解…それ以上の魔力で消し飛ばす。
一瞬、ほんの一瞬、拮抗した?ようにも見え、またそのようにも感じられた鉱石の壁はいとも簡単に破壊され、その「魔力砲」は狙ってか、運よくか、はたまた神の悪戯か、竜の体において最大の弱点である逆鱗に、ちょうど<鉱域>の上を突き破ろうと竜が首を上に向けていたため、見事に直撃した。
「グロオオオ!」
その瞬間竜が上げた雄叫びは、今までのように怒りをぶつけたり、威嚇したり、苛立ちを示すものでなく、ただただ痛みによる悲鳴であった。
そんな竜を傍目に、サツキはバルドル達の「お前何してんだ」という視線…ジト目を受け頰を掻き苦笑いを浮かべていた。
ゴリ押し多いな
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次回も本編です




