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バケモノに至し暗殺者  作者: ヤヒド
冒険者編
78/115

「バグ」-理解、不理解-

いつも読んでいただきありがとうございます

竜の鉤爪とバルドルの大剣が激しくぶつかり合うと周囲の森が揺れ衝撃が走った。


「guroo?」


流石の竜もバルドルの一撃によって体が一瞬硬直、その隙をメイスを振りかぶったルーニーと剣を構えたボルダーが攻撃した。

しかし竜が硬直したということは、バルドルにもそれ相応の影響があり…


「あぶねえ!」


メイスでの打撃を鉤爪で受け止め、剣での突きを弾き飛ばした竜は、よろけた隙を狙いブレスを放った。

そんな容赦のない攻撃を硬直したバルドルが避けられるはずもなく…


「ハアッ!」


ブレスに飲まれる直前スカイによって蹴り飛ばされたバルドルは地面を転がると、多少の打撲とささやかな羞恥のみによって窮地から逃れた。


「すまねえ」

「いや、大丈夫だ。アレの攻撃をまともに受けてもうそこまで回復しているその体に驚嘆する。おっと…くるぞ!」


無駄口叩く暇もなくブレスを撃ち終えた竜は空高く飛び立った。


「何をするつもりだ?」

「空に行かれると困るんだが」

「お姉さま、石でも投げますか?」

「まあ悪くはないが…くるぞ!」


スカイの言葉通り、空高くから急激に加速をつけ地上の獲物を狙う鷹のように突撃してきた竜を一行はスレスレで避けた。


「すごい威力だな」


その視線の先には突撃によって抉られた地面があり、威力の高さを物語っていた。

バルドルはそれを見ながら言った。


「アイツは空が安全で尚且つ相手にとって対処しづらいと考えたんだろうが、甘いな」

「バルドル殿、何か策が?」

「ああ、簡単だ」


そういうとバルドルは戦闘によって倒れた森の木に向かって近づきそれを持ち上げた。


「空を危険にしてやればいい」


木は飛んだ。


類まれなるコントロールと木の質量、そしてブレスには多少の溜めがいることと、空中では踏ん張りづらく、さすがの竜でもその丸太を破壊しづらいことから、地上への突撃もできず定期的に飛んでくる木への対処に追われていた。


「それにしても妙だな」


バルドルの元へ木を運びつつ、魔法などによって竜を威嚇していたスカイは言った。


「あの竜は明らかに成体の竜だ。だというのにまるで()()()()()の様に一切の魔法を使ってこず、唯一の例外はブレスのみ。戦術も碌なものでなく、身体能力も使いこなせていない…まるで、そう、突然造られたような…」


当たらずも遠からず、正確には「造られた」でなく「創られた」である。


そんな事を考えているうちにいつの間にか竜は地上に降りてきていた。


「やっと降りてきたな」

「ああ、そうだな」

「お姉さま、怒ってますわあの竜」


ルーニーの言う通り竜の体からは今まで以上に魔力が迸り爆発しそうな勢いであった。


「このまま何処かへ行ってもらいたいんだが…無理だろうな」


一行は竜を見据えると静かに武器を構えた。



<サツキ>


(おじさん脳筋だな、あんな高いところまで丸太を投げて届かせるなんて)


カイナと共に戦地までやってきたサツキは、静かに傍観しながら隙を窺っていた。


「ねえサツキどうするの?」

「……」

「僕は手伝いに行った方がいいと思うんだけど?」

「……」

「おーい、サツキ?」


何か聞こえてくるモノを脳内から締め出し思考を続けるサツキは竜が地上に降りてきたのを確認し、竜が助っ人一行に怒りを抱いているのを確認した。

それを見てサツキの作戦が決まった。


「ステレスで行く」

「え?」


カイナの疑問に答えぬままサツキは魔力?を内に引っ込めると、その循環を遅く、遅くした。


(魔力?を抑えて押さえてオサエテ圧える)


本来この世界の住民にとって魔力とは()()()必要不可欠なモノであり、生命にすら干渉しているモノだが、魔力のない世界から来たサツキは本来必要としていなかったモノを、あるべく形に戻しただけのため、全く魔力の使用はできないが、魔力感知にも全てのものに感知されない隠密を行うことに成功した。


しかしサツキには***がありそれはさらに**なエネルギーなのだが()()()にはそれを感知することはできなかった。


そしてカイナにもサツキはとても奇妙な存在として映った。

魔力のない生物はいない、そんな固定概念により気配も薄くなりほんの僅かにしか感じられないサツキの存在を脳みそが否定するものの、本能が、そこに確かにナニカいると言う本能がそれを肯定し…カイナの感覚をバグらせていた。


「え?サツキ?え?え、え?え…?」


そんなカイナを放置したまま、戦闘にとっては致命的な「分かりそうで分からなくなぜか気になる違和感」と言う相手の注意を削ぐ権化になったサツキは竜の向かって足を踏み出した。


(魔力のない場所を生きた私だけの、この世界の住民だけに通じる暗殺技…結果的にだけれど、固定概念の利用と近距離だと僅かに感じられる私の存在を逆手に取ったこれ、まあ言うなれば「舌先現象(バグ)」かな。完全に存在消せるようになったら本当にそういった強者との戦いでしか使わなくなりそうだけど)


サツキはなおも思考を続け、激化している戦地へと向かいながらこの技の弱点などを洗い出していくのだった。

自分ASMRとか聞くと耳掃除のやつとかは実際にやられるのを知ってるから音だけなのにこの音はやられてる音だ!みたいになって脳がバグるんですよね。

後、舌先現象ってかなり使い方違うんですけど技名がいいのがなくって…なんか思いついたら教えてください。


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次回も本編です


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