ガタガタ
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「groooooo !」
「ハアアア!」
サツキの「魔力砲」と竜のブレスは拮抗しあっていた。
そしてその二つのエネルギーによる余波によって竜に設定されたコンセプト…「進化」が発動し傷ついた表皮は再生されさらに強靭な表皮へと生まれ変わっていた。
そんな事を知らないサツキは、
(なんで!再生しつつ、前より強そうになってるんだよ!)
そんな理不尽に対する怒りを「魔力砲」に込め、ぶっ放していた。
<バルドル、スカイ、ルーニー、ボルダー、カイナ>
「嬢ちゃんの魔力すごいな、本当に嬢ちゃんか?」
「アレが犯人だな」
「姉様の言うことが真実ですわ」
「おっかねえな、竜もあの子も」
「流石サツキ!すっごい魔力だね」
戦場に集合した5人は一通り好き勝手喋ると簡単に名前を言い合った。
「バルドルだ」
「スカイだ!」
「ルーニーですわ」
「ボルダーだ」
「カイナだよ」
バルドルが切り出した。
「それで全員アレを殺しにきたんだよな?」
「ああ当面はな」
「そうですわ」
「そうだな」
「そうだよ?」
「で、入る隙を窺っていると」
「ああ、私とバルドル殿はいいがこの2人とそちらのカイナはまだアレには入れんだろう。そう考えるとあのサツキとやらも中々…」
スカイは1人考え始めた。
「まあいい。それじゃあ…嬢ちゃん!?」
次の瞬間バルドル達が見たのは竜の手で潰されるサツキの姿だった。
「いやサツキは大丈夫、ほら。そこに」
謎の信頼感によりサツキの生存と場所を言い当てたカイナのいう通り上空にはサツキの姿があった。
しかし…
「あの腕、ひしゃげてますわ」
ルーニーの目にははっきりとサツキの左腕が潰れているのが見えていた。
そこに…魔力が…
「あ、撃った」
「撃ちましたわ」
「あの左腕でそれをやったら本当に壊れちまうぜ?嬢ちゃん」
そして、サツキの魔力と竜のブレスがぶつかり合った。
「
「でも…」
「でも…」
「今がチャンスだな」
「そうですわね」
「行くぞ!」
「僕も〜」
5人は竜に向かって駆け出した。
竜のその恐ろしさを理解しながらも、それを殺すために…
<サツキ>
(ん?なんだ?)
サツキは迫ってくる五つの気配を感じ取っていた。
(一つはおじさんのだな、だけど他は…)
そちらにも警戒を向けつつ竜に「魔力砲」を撃っていると、突如竜にむかって集団が走り出した。
同様にそれに気づいた竜がブレスを撃つのをやめ、横飛びをし離脱すると、それを応用に大剣を構えたバルドルと長いランス、それに続いて金髪の鎧姿の女性が飛び込んできた。
それに警戒しつつ地上に降り立ったサツキは倒れた木に左腕を寝かせると、右手で服の下腹部の部分をちぎり左腕の破損箇所より上に巻こうとしたが、
「サツキ!」
カイナが何処からか現れ声をかけた。
「なんでここ…」
「巻くね?」
カイナはサツキから布を奪うと左腕に巻いた。
応急処置ともいえぬ処置を終わらせたカイナは未だ混乱しているサツキに向かって言った。
「サツキ逃げないの?」
「え?なんで?」
「だってその状態じゃバルドルさんにもあの団長にも負けて殺されちゃうよ?」
カイナはわかっていた。
サツキはこの戦いで生き残っても答えを誤魔化したりせず「あれは自分の魔力で自分はそこにいた」と正直に答えることがわかっている。
それ故勝負になり、サツキは負け、死ぬと考えた。
だからこそのカイナのサツキに死んでほしくないが故の提案…しかしサツキは、
「無理、逃げない」
「……」
「そう…なら戦うの?」
サツキは答えずに立ち上がった。
カイナもその横に並ぶ…
「行こっか、サツキ」
サツキとカイナは走り出した。
(さて…魔力もない、左腕は壊れた、全身ガタガタ…まずは竜だ。どうしようか)
サツキの顔には笑みが浮かんでいた。
竜は甘くありません
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次回も本編です




