安定主人公と機嫌が悪いおじさん
いつも読んでいただきありがとうございます。
「弓兵!構え!」
街の兵士たちから選び出された兵隊長がもう目前まで迫ってきた死の黒波に対して弓を構えさせた。
「カイロス騎士団!外敵が来たぞ!槍構え!」
カイロス騎士団その団長である美しい女性が声を張り上げた。
「結局突撃することになるとは…」
「だから言っただろう?まずは一発かまして士気を上げないと…」
「団長…ソレ、参謀ちゃんに言われて気付いた言葉を言ってるだけですよね?」
「う、いや、気付いていたぞ!」
「まったく…しょうがない団長ですね」
「そうだ!だから…」
「え?」
「い、いや!何でもない!」
そんな痴話喧嘩を眺めさせられていた部下達は皆思った。
(結婚しちまえよ!)
と…
そんな中少し離れたところでサツキは…
(たまには暗殺者らしく行ってみるか…)
なんて物騒なことを考えていた。
「ねえおじさん」
「あ?何だ?もうくるぞ?準備はいいのか?」
おじさんは一向に魔力すらも纏う気配のないサツキを見てそう問いかけた。
しかしサツキはそれを無視して聞いた。
「おじさんはさ、突撃するの?」
「ん?ああ怖くなったのか?まあ突撃っていうか最初から突っ込んでいくぞ?俺は剣を振るしか脳がないからな」
(え?怖くないが?っていうかやり方が脳筋じゃん)
「つまり突撃してでかい魔力を狩りにいくってこと?」
おじさんはサツキの先程からの質問の意図がわからず困惑しながら言った。
「まあそういうことだな。強い奴らが仕留めないと…」
それを遮ってサツキが重ねる…
「じゃあ私気配を消して先にそういう魔物のほうへ向かっていくからさ、早く追いかけてきてね?」
「は?お、おい!それじゃあ監視の意味が…」
「早く来ないと全部殺しちゃうよ〜」
サツキは言いながら気配を絶ち、「暗殺歩行」を駆使しながら歩き出した。
後ろではおじさんが、「一体どこに行ったんだ!?っていうか技量が上がりすぎだろう!?」などと言いながら、もういないサツキを探していた。
(早く来てね。あと技量が上がったのは単純に魔力を知覚したからだよ)
サツキは聞こえないと知りながらおじさんの疑問に答えつつ、まずは暗殺者として、重要なことを満たしに…
(まずは…人臭さを消しに行こうか)
そう考え近くにある泥、土を探し始めた。
「チッ…もうここのはいねえか、嬢ちゃん…」
バルドルの胸の内には怒りが湧き上がってきていた。
(みんなには俺が責任取るなんて言ったのにすぐに逃しちまうし…このままじゃサツキお前全員に殺されるぞ?面倒見るって言ったのにそれを果たせないとはな…絶対に見つけて見張ってやる、俺をやる気にさせたことを後悔するがいいわ!)
少し性格が変わった怒りのバルドルはフフフフフと笑いながら周りに殺意を撒き散らし始めた。
その影響で周りの人達が少しふらっとしたり倒れたりとしたが…機嫌が悪そうなバルドルに何か言えるものはおらず…皆遠巻きに眺めることとなった。
余波でこれである。
これの元を八つ当たりでも受ける魔物の末路は…
遅くなりました。はよ戦いに入れって方はもう少し待ってください。
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次回も本編です




