自由の代償-冒険者の心得とKYな主人公
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<冒険者組合>
対策会議…そう称されたただの話し合いは始まった。
「それで…ギルドマスター一体どうするんだ?この空気も死の黒波も」
そう話を切り出したのはバルドルだった。
「そうだね、じゃあまず死の黒波をどうするか考えていこうか。君達があの魔力を感知した時私も同様にそれを感知した、そして私は領主様と連絡を取り城壁にいる見張りの兵士からの情報をこちらにも伝えていただけるよう頼んでいる、その情報が…」
ギルドマスターが続けようとすると組合の扉を開けて組合職員が入ってきた。
「…今きたようだ、君、ここで話してくれ」
「は、はい、見張りからの情報を伝えさせていただきます。死の黒波の規模は一度体験した兵士の話によると見たことがないほどの物量でスピードは大体後15分ほどでここに到着だそうです。そして騎士団の方々も出撃し兵士の方々は後方支援と弓であると…それで…冒険者組合で会議をしているという情報によってまだ決めていないにも関わらずバルドルさんやノルタさんが参加することが確定のようになっていまして…」
最後の一言を聞いたノルタとバルドルはキッとギルドマスターの方を睨んだ。
「はめたな?」
「右に同じく」
何を言っているのかわからないという顔でギルドマスターは言った。
「なんのことやら」
「…そうか…なあギルマス俺はな別に戦うつもりだったんだよ、逃げるつもりもなく…な」
「うん知ってるよ、まあ僕が君をはめたみたいな事実はないけれども…」
しっかりと言質を取られぬよう釘を刺したギルマスは続けた。
「君みたいな冒険者がもし参加しないってなったらCとかDの冒険者も逃げちゃうかも知らないし何より冒険者という規律の中で力があるから逃げられたら、示しがつかないしね」
バルドルは感じるところがあったのか口をつぐんだ。しかし…
「だからというわけではないが…これは「強制依頼」にさせてもらうよ」
そう言った瞬間周りの冒険者達はどよめいた。
「そんな…」
「強制依頼なんて…」
「そんなに危険度が高いってこと!?」
「今からでも…」
「いや逃げるなんて…」
「反対側ならいけるんじゃ?」
「でも犯罪者に…」
「俺には家族が…」
※「強制依頼」とは冒険者組合の権限の一つで指定した区域(今回はカイロス)にいる冒険者達に強制的な依頼を出すことだ。これを拒否した場合「指名手配犯」として犯罪者になり冒険者の証を剥奪される。
そんなどよめいた状況でバルドルとノルタは威圧と共に魔力を発し始めた。
「大人しく聞いてればギルドマスター、そんな必要はないだろうが?そんなの私たちがやればいい(あの小娘とかな)」
「もっと賢いと思ってたんだがな?ギルマス、下の冒険者達まで巻き込むことはないだろう?あいつらはまだ成長過程だ。家族もいる。ここには俺もノルタもいるんだぞ」
ギルドマスターも対抗するためか魔力と威圧を発しながら出来の悪い子供に言い聞かせるような優しい声で言った。
「いや?巻き込むんじゃないよ?もう巻き込まれてるのさ、この街の住民だって逃げてない、逃げられない。いかに冒険者が自由な職業とは言え見捨てて逃げればそれは冒険者じゃない。あるだろう?冒険者の心得に…「冒険者たるもの弱気を助け善をなせ」って。これが自由の代償だよ。私はそれを実行しようとしてるだけ、皆等しく対象だよ、それに…」
微妙に殺気が混じりつつあるこの戦いの中、ギルドマスターがこの誤解を解く大事な言葉を発しようとした瞬間、我らが主人公(組合内の人たちは知らない)は反射的にこのぶつかり合いを塗りつぶすほどの魔力と殺気を放っていた…。
バルドルもノルタもいいやつやな〜、まあギルマスにも考えがあるんすよ。殺来は…まあお察し
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次回も本編です




