死亡フラグと脊髄反射
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<カイロス-城門>
「お、おい!あ、あんな数の死の黒波見たことないぞ!?この街は大丈夫なのか!?」
城門の見張りの兵士から領主へと伝えられ、城壁の上に配備された兵士たちが見たのは、遠くから迫ってくるとてつもなく大きい黒の波だった。
「かなり距離があるっていうのになんていう規模の…」
「こんなの弓が通じるのか?」
「お、おい!騎士達はまだなのかよ!」
「冒険者達も何をしているんだ!俺たちだけでなんとかしろっていうのか!?」
兵士達がこのような有様になってしまった原因の一つに、最初に発言した兵士が信頼が厚くまた死の黒波を体験し生き残ったベテランの兵士だったということが理由としてあった。
(ああ…俺のせいだ…慕ってくれる後輩達の前であんな弱気な発言をしてしまったから…)
「落ち着け!たった今連絡が届いた!」
そのベテラン兵士の思考を遮り、兵士達の隊長が声を張り上げた。
「ただいま領主様の命によって警備隊による住民の避難が開始された。魔物がきている方向とは逆方向にある下水道内に逃げ込むそうだ。そして今、騎士団も会議を終えこちらに向かってきてくれている。我々兵士は城壁から騎士団の支援を行う」
騎士団が来てくれる、と聞いた兵士達は少しホッとした顔をした。
「そして冒険者達だが…彼らは今ギルドマスターの元作戦を練り準備をしているそうだ、喜べあのAランク冒険者「竜殺し」のバルドルさんや「壊氷」ノルタさん、そして傭兵団「黒き鉄槌」の数名もいるそうだ」
それを聞いた途端兵士達は沸き立った。
「うおー!」
「やったぜ!これならいける!」
「死ななくて済むぜー」
ただ一人ベテラン兵士はあの日血まみれで帰ってきた黒髪の少女を心配していた。
(ああ…あの子は大丈夫だろうか…なぜか胸が騒ぐ…)
…5分ほど経ち兵士たちの目にはすさまじいスピードで跳びながら向かってくる黒髪の少女が写っていた。
<サツキ-現在逃走中->
「ヒャッハー!速い速い!」
そんなことがあったとも知らないサツキは現在もう城門というところまで来ていた。
(ん〜?やっぱりまだまだ全然準備ができていないみたいだな、弓兵しかいない…新しい歩法のおかげでだいぶ魔物との距離も稼げたしとりあえず冒険者組合行って色々教えてあげようか)
私は面倒ごとになるのを嫌って段々とスピードを落とし経過させないように城門へ向かった。
「と、止まれ!何者だ!」
「え?それ今いる?」
「え?い、いやいるだろう?この混乱に乗じて入ってくる輩がいる可能性もあるしな」
「確かに」
私は納得すると冒険者組合のカードを出した。
「これでいい?」
「は、はい…何もないですね、いいですよ。ちなみに何があったんですか?」
「え?今スタンピードの対応してるんじゃないの?逃げてきたんだよ?」
「そ、そうですか…冒険者は組合に集まっていますがあなたのランクならば、この街の住民が避難している反対側の下水道に行ったらいいと思います」
親切心からかそう助言してくれた兵士に少しいい印象を持ちぺこりとしてから私は城門をくぐり…冒険者組合に向かった。
<対応した兵士と城壁上の兵士>
「あの子…結局組合の方に行ったよな…」
「ああ…方向は一緒だがそっちだろうな…」
「あの子可愛かったな…」
「ああ…」
「俺、これ生きて帰れたらあの子を誘ってみる」
「ああ…頑張れ…でもな、俺な、それを聞いた瞬間お前が死ぬ気がしてならないんだよ」
「縁起でもねえよ…」
そんな華麗な死亡フラグを立てた兵士を見たベテラン兵士は思った。
(あんな子によく手を出そうと思えるな…)
ベテラン兵士の目には彼女の姿が血に塗れている状態でしか見えなかった。
<サツキ>
(ここを真っ直ぐ〜すぐ見える〜みえた〜)
妙なテンションで私は冒険者組合の目の前までやってきた。
(よーしそれじゃあのろまな人たちに危機感を植え付けますか…なんか魔力溢れてるな、威圧も…なんで?まあいいや入ろー)
そう考えた私が扉に手をかけた時、ずっと感知していた二つ?ぐらいの魔力と威圧の中に殺気が混じり始めたのを感じた。
「…」
それを感じた私は…脊髄反射で最大魔力と殺気をその上から塗り替えるようにぶつけた。
反射はしゃあない。
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次回も本編です




