4度目の正直と謎のメンタルダメージ
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ちょっと興奮してしまったが、冷静になると正直なところ相手にするほどのことではないと思い直して、無視することにした。
「続けていいですよ」
「あっはい、すみません。それでは年齢を教えてください」
「年齢制限があるんですか?」
「おいっ話聞いてんのか!?」
「え、ええ。13歳以上という制限があります。」
「自分は16歳です」
「クソガキが、舐めてんのか。」
「それではステータスの鑑定をするのでこのカードに血をいって…」
「おい、お前いい加減にしろよ!」
無視し続けていたら、肩を掴まれて怒鳴られた。
お約束って結構うざいんだな。
「さっきからうるさいんですよ。なんなんですかあなたは?こんな真っ昼間から酒を飲んで臭いんですよ」
相手も私が言い返してくるとは思ってもいなかったのか、しばらく唖然とした後、
「お、お前殺されたいみたいだなぁ!」
といきなり殴りかかってきたので迎撃しようと簡易武器創造で「粗悪な鉄の短剣」を創り構えるとぶつかる寸前に前に誰かが飛び出てきて冒険者の拳を受け止めた。
その男は左眼が怪我で開かなくなっており、とてつもなくでかく一目で業物だとわかる大剣を背負っていた。
「おいおいこんなところで殺し合いなんてよしてくれや」
彼が一言喋っただけで組合内の空気が凍りついた。まるで戦闘開始前の戦場のように緊張が走った。
私にはみんながこんなになった理由がわからず混乱していた。
確かにこの人はすごいけどなんでこんなに緊張しているんだろう?だけど今がチャンスじゃない?
そうポジティブにとらえると私は、冒険者もなんか酔いも覚めて萎縮しちゃってるし、殺すのはやめて気絶させよう。と考えた。
すぐに暗殺術と歩行術と隠蔽の応用である「暗殺歩行」で足音と気配を隠蔽し、簡易武器創造で「粗悪な鉄のハンマー」を作り出し後ろに回ろうとした。
「おい嬢ちゃん、一体何をしようとしてるんだ?」
すると途中で先ほどの隻眼の男に止められてしまった。
何を当たり前のことを言っているんだ?と疑問に思ったが、質問されたので答えてあげることにした。
「あの冒険者は何故か萎縮したから、殺すのはやめて気絶だけでおさめてやろうかと…」
隻眼の男はため息をついた。
「あのなぁ、今俺のおかげでいい感じになってただろう?」
何を言っているのだろうか?あんなに空気が凍りついていたのに…
「隻眼のおじさん」
「おっ、おじさん!?」
「そう、おじさん」
「お、俺がおじさん?」
なんか落ち込んでボソボソ言っているけどおいといて、
「別に私はなんとかしてなんて頼んでいないし、自分でカタもつけられた」
「いや、そういうことじゃあなくてだな…」
なんかわからないけどおじさんも落ち込んでいるから今がチャンス!
ガンッ!!
「あっ!こいつやりやがった!」
あースッキリした。殺せなかったから称号の解除はできなかったけれどまあいっか。
それじゃあ目的を果たそう。
「冒険者登録の再開お願いできますか?」
「すみません、少し待ってください。話を聞きたいんですが…」
いつきたのか、この街に一緒にきた騎士たちと同じような格好をした人が話しかけてきたが
「無理です、後にしてください」
と一蹴した。
「でもそうなると君が色々と面倒なことになっちゃうんだよね」
「脅してるんですか?」
「いやそうじゃないが…」
「これってこんなのをのさばらせたあなたたちの落ち度ですよね?」
「うっ、それを言われると…」
「それに私が悪くないことは周りの方もわかっていると思いますよ?」
私に落ち度は何もないだろう!
「ねっ?隻眼のおじさんや組合の人達?」
「おっ、おじさん…」
またダメージを受けてる。心が弱いおじさんなのかな?
まあいいか、今度こそ邪魔されないといいな。
「それでは4度目の正直で、冒険者登録お願いします!」
次回は別視点です
冒険者組合の読み方は冒険者くみあいでも冒険者ギルドでもオッケーです。
ギルドマスターが組合マスターでないのは、語呂の問題です。