天才で天災の飛躍
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(よし、まずは…)
私は今「身体強化」で全身を巡っている魔力のうちいくらかを右手の掌に集中させ始めた。
(これが「身体強化」の状態でさらに右腕の強化の比率を上げた状態かな?うーん…こんなことをしなくても放出はできそうだけど最初だからね、それじゃあ)
私は手のひらをまっすぐ正面に向けると放出するイメージをしながら魔力を外に押し出した。
瞬間私は咄嗟に魔力が漏れ出るのも構わす「身体強化」を自分の体の許容値ギリギリまでかけた。
私は勢いよくその場から吹き飛び、空中で錐揉み回転しながら宙を舞った。
私は空中で回転しながら体制を整え着地した。
「は、ハハハ…コレハヒドイナ」
私の目の前には先ほどまで私が立っていた場所を起点に三角形の爆心地ができていた。
(冷静に…冷静に…まず私がやることは?この規模の隠蔽は不可能、私ではとても埋めきれないし明らかに音が街にも届いているはず、何よりこの近くには森がある、あれだけの音を立てれば魔物が殺到する可能性もある…)
私はすぐに状況を把握して考えた。
(まずやることはこの場から離れる。その後は一旦街に戻る…?いや今戻ると検問が面倒くさい、確実に探られる。いや侵入するか?幸いカイナには用事があるとしか言っていない、外に行くなんて誰にも言っていない。だけど私に裏があることを微妙に勘付いている奴らも多い、疑われる可能性も大…)
私がそんなことを考えていると突然周りでパニックになり森に逃げ込んだり、逆に草原に来たりしていた動物や魔物の音が静かになり…消えた。
(こいつは…)
私は森の奥から凄まじい数の魔力と、とても大きい魔力が数体近づいてくるのを感じた。いつもならこの距離はわからないのに私の魔力が周りに散らばっているからなのか、何故か理解できた。
(だめだ…この数は相手にできない、さっきの「魔力砲」を使っても倒しきれない、アレはかなり疲れるし「身体強化」を解くわけにもいかない)
私はちゃっかり名前をつけた先ほどの技の燃費の悪さとそれに比例した威力の高さに納得しつつどうするかを考えた。
(でかい魔力の個体から暗殺していく?いやアレは群れじゃなくただ弱い魔物たちが追い立てられているだけだ、倒しても止まらないな…それにあのボアのように魔法も使ってくるだろうな…というか私の方に来てるなコレ」
自分が魔力を思いっきりぶっ放したこととずーっと高濃度の魔力を纏い続けたことで向かってきているということを理解せず、ただ音に反応してきていると考えているサツキは疑問に思っていた。
(よし!とりあえず街に戻ろう、癪だけど今はまだ私より強い人がそこそこいるからマシでしょ、どうせ気づいてると思うし)
それはこの世界にきてたった数日しか経っていない自分でも「魔力感知」できるのだからというモトの素養も絡んでくるなかなか酷な願いからきたものでもあった。
(ちょっと待っててね、コレだけ打ち込んどいてあげるから)
サツキは天才だ。彼女は魔力を掌に集めるとそれを圧縮し球の形に練った。
「うーん…まあ名前をつけるなら…「魔力球-圧縮」かな」
安直なネーミングセンスなこの技だが初速は遅いものの、段々と加速していき進む道にいる魔物を消しとばしながら魔物の群れの中心にたどり着いた。
すでに街に向かって走り出しているサツキはそれを感知すると言った。
「解放」
「魔法球-圧縮」は込められまさに圧縮されたその魔力の内側に行こうとする全てのベクトルを外側に変え先ほどの「魔力砲」よりは劣るもののそれの二分の一ほどの爆発を全方位に起こした。
(おおー、ぶっつけな割にはなかなか…さっきのよりは使い勝手がいいな、それに圧縮しない普通の「魔力球」の魔力量でもそれを圧縮すれば小型にしてなおかつ威力が上げられる…コレは!暗殺向きだ!)
先ほどの経験からいつの間にやら「魔力球」まで作っていた天才サツキは(「魔力球」は大きさによって魔力の必要量が変わるためサツキの説明はあてになっていない)歓喜していた。
(なんでこんなお手軽にこうやってできるのにこの世界の住民はやらないんだ?無属性魔法のとこにもなかったし)
そして疑問に思っていた。
サツキの使った「圧縮」という技術は存在するがそれはかなりの高等技術でこの世界でもあまり使われていない。
そんなモノをサツキが使えた理由は…サツキの**が**であり**ではないからだろう。
それゆえ殺来は天才で天災である。
ちなみに無属性魔法にコレらがない理由は…単純に属性魔法が使えるのなら必要がないからであった。
ちょい覚醒?こんなモノではないぞ諸君…覚醒はしばらく先だ!
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次回も本編です




