群の中の個と群であり個
お願いします
(んーちょっと答えづらいな〜彼女がどういう立ち位置の人なのか私にはわからない…予測はできるけどあくまで予測でしかないのがキツい、まあそれを抜いても話すなんて論外か…)
私は黙秘権の行使と信用や信頼という目に見えないモノを引き合いにこの質問をやりすごそうとした…が、彼女の目に宿る光に時々日本でもうちにやってきていた「主人を守るためには…!」っていう目をした依頼者と彼女が重なり、私は確かな金の予感とある一定程度の後ろ盾、そしてなにより暗殺業をしていくための活路が開けた気がした。
(同じだ…どの世界でも同じ…ある一定以上上り詰めた…上にいるものはこう言ったいい取っ掛かりになる。そうだね…こっちも測ってみようか)
私は本質なんてそんなものということを再確認しつつ彼女に問うた。
「…その前にこっちからも質問がある」
「いいよ…私にできることなら」
(もう結構この女は心の中で私に譲歩しちゃっているよな…これなら…)
「君は何?」
私の持論として人間が自分の命を投げ打ってまで他の他人を助けようとすることなどアリエナイ。
群の生物は個の生物と違い一つの大きい意志の中で生きているからだ。世間体や常識を気にし、それを破ってまで他人に尽くしたり他人を害したりできない。また弱った個体を切り捨てるのも群れの意志である。できるのはそれが群の中に生み出された小さな異常だからだ。
そんな異常は一見見た目が変わらないため1匹いるだけでそこに紛れ込ませ個としての力を群の隠れ蓑の中でうまく使い群の生物たちができない行動をすることができる。見た目は変わらないが生物としてまず違う…そのことから、富豪たちの間では犯罪者に首輪をつけ護衛にするのが流行っていた。
そんな異常だがこれは造ることができる。元からある群の常識から引き離し別の「自分の命をかけても対象を守り敵を殺す」という常識を持った群の一員として育てることでそれを是とし他の個と違い拭いきれない違和感を消し完璧に紛れ込むことができる…そんな匂いを私は彼女から感じ取っていた。
群であり個…私は家でそういった人間を見すぎた。彼らの目に宿る理解し難い狂気が私に耐性をつけさせ彼女の正体を予測させた。
「貴方は…知っているの?」
「見てきたから」
「そう…私は…私の私は坊ちゃんを命に換えても守ること」
彼女は私の質問に静かに…しかし確かな狂気を感じさせる目を向けながら言った。
「(本当に嫌だ…吐き気がする…そちらに振り切れた模造品が…)」
「?」
私は思わず小声で悪態をついていた。幸い彼女には聞こえなかったようで呑気にお風呂のお湯をすくって遊んでいた。
「それじゃあ答えてくれる?貴方のこと」
「…いいよ。貴方は「坊ちゃん」に関してはヒドクセイジツだから」
私が皮肉を混ぜつつ彼女にいうと彼女は気にした様子もなく私の言葉を待っていた。
「はぁ、私が貴族、この国に対してどう思っているかどうかだったね、それは…」
私は皮肉を裏返す形になるが念のためにすぐに「簡易武器創造」で武器を作れる準備をし警戒しながら次の言葉を紡いだ。
「全く興味がないよ」
言い切ると私はすぐさま手にマキビシを創り出した。
読み直して思ったけど結構黒いですね、はい。
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次回も本編です




