常識おじさんと二柱の神の加護(呪い)
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私はこちらに向かって歩いてくる3人組を見ながら、段々と主人っぽい子供以外の2人の顔が険しくなっていくのが分かった。
何故か彼らが歩くと私の時以上に素早く人が前から消えて行ったが、私には何故そんなことになっているのかが分からないため、どんどん顔を険しくしていくのを見ながら、受付のカウンターの前でずっと待っていた。
向こうも止まる気がなく私も退く気がなかったので衝突しそうになったところで、人混みから手が伸びてきて私の服を掴み脇に引き寄せた。
私は子供扱いされたことに少し不機嫌になりながら。腕の主を見るとそれは昨日私をずっと追いかけてきていた「隻眼のおじさん」だった。
「おい、嬢ちゃん。お前に常識がないこと身をもってよく分かったが、ケンカを売る相手には今日つけたほうがいいぜ。あの従者が持つ武器がどう言う意味を持つかぐらい知ってんだろ?」
そう言って私に忠告してきた。全く何を言っているかわからないので質問することにした。
「ケンカなんて売ってませんよ?まだ完全に私の用事が終わっていないのに、並ばずに私をナイガシロにしようとしたのはあの集団じゃないですか。それにどうやら常識がないらしい私に聞かないでもらえますか?」
非常識と言われムッとしたため少し強めに言うと彼は呆れたように口をあんぐりと開け言った。
「お前一体どこ出身だよ…。それと俺は良いけど殺気を撒き散らすのをやめろ。周りが警戒してる」
確かに周りの護衛たちが武器に手をかけ私を警戒していた。私はごまかすように言った。
「それでその武器とやらにどんな意味があると?」
私には武器に武器以外の意味があるとは思えなかった。
「武器にも意味があるがあの場合は素材だな」
少しおいて彼は続けた。
「あの武器に使われている素材は5つある鉄系統のランクのうち「王」クラスの王鉄が使われているんだ。王と大公と公爵以外の使用はこの国では禁止されていて、持っている時点で公爵以上が確定だ」
「ちなみに鉄系統なら鉄、鋼鉄、王鉄、帝鉄、神鉄がランクとしてある。気になったら色々調べてみると良い。まあ常識なんだけどな」
納得した。どうやら公爵以上の身分とわかっているからあんなに騒ぎ、みんなはけて、さらに私が退かないことであんなに騒がれていたんだなと。
そして私は「隻眼のおじさん」がぼそっと言ったことを聞き逃さなかった。
「確かアプメイ公爵の野郎の倅がこの間誕生日だったか。それでお忍びで来てるんならなんで「王鉄」製の武器なんか帯びてやがる?周りに変な気配もして護衛もいることがわかるし、眼を染める魔法具まで使ってやがるってんのに…きな臭いな」
…公爵を野郎よわばりするおじさんの正体がとても気になったが、貴族同士のめんどくさい争いに巻き込まれたくないので聞かなかったことにしよう思った。
私は話が終わったと判断し(実際はバルドルはまだ用があったが)二階に上がる階段の方へ向かい始めたが声が聞こえてしまった。
先ほどの坊ちゃんの従者の1人が「ここにサツキというものはいるか!?」と叫ぶのを…
…災厄神と混沌神の加護じゃなくて呪いだろ…
次回もおそらく本編です。




