女将の受難
お願いします
私は今非常に困っていた。
私はこの「聖神の抱擁」の女将を務めているペサミといいます。
主人と共にこの地へやってきて何もわからぬところから苦労して聖神の祝福をもらえる店にまでなりました。
そして今私はこの宿を建て10年以上経ちますが、その年月の中でトップに入る緊急事態が起きています。
つい先日、この国の伯爵家であるアプメイ伯爵家の一人息子であるブレイ様が12歳の誕生日を迎えられたそうです。
それは喜ばしいことなのですが…。
その誕生日祝いと将来民をまとめる良い領主となるために、あえて平民の様に国中を見て回っているらしいのです。
平民の様にしているといっても伯爵家の長男には変わりないわけで、たくさんの護衛が隠れて守り、お付きの従者を2人ほど連れて表向きには商会の跡取りとして回っているそうで…
明日この街に来る様で、この街の最高級の宿であるこの宿に泊まると伯爵家の使者がやってきて言いました。
しかし宿は予約などをしないとなかなか部屋が空かないのですが、いわく平民の様に自分で予約をするそうで…
ブレイ様にも私たちが正体を知っていることは知らされていないので、あらかじめ一部屋空けておくことはできず…
またこの宿は冒険者の方々も泊まる宿…予約なんてできないのです。
なので私はどうか明日、一部屋空いている様に祈っていました。
そうして悩んでいると呼び鈴が鳴らされました。
どうか3階以上に留まる貴族様でありますようにと祈っているとそこにいたのは闇の様に深い髪と眼を持つ少女でした。
私は要件は分かっていたがあえて聞きました。
「はい、こんばんは。何の御用でしょうか?」
「ここに宿泊したいのですが大丈夫ですか?」
予想通りだったことに少しガックリしながら続けました。
「泊まることについては問題ないのですが…ここは宿泊料がかなり高く…」
「大丈夫だと思います。一泊いくらでしょうか?」
「一泊10000ミムとなっております」
「それではと・り・あ・え・ず・一泊お願いします」
どうやら一泊とりあえず泊まるようでした。
彼女がお金を払い紙に書いた名前を確認すると私は説明を始めました。
「サツキさんですね。それでは説明をします」
「この宿には一階に大勢が入れる酒場兼食事処、貴族の方などがよく使われる個室の食事場所、大浴場があり、2・3階には各お部屋、4階は貴族の方などが使われる特別なお部屋です。またお・客・様・どうしのいさかいに関しては宿屋に被害が及ばない又は我々が原因でない限り不干渉とさせていただきます」
最後の一文は前にあった教訓から付け足したもので、厄介なことに巻き込まれぬように付け足したものです。
彼女は理解してくれたようで質問をしてきました。
「分かりました。ちなみに食事ついてきますか?」
「はい、もちろんです!今はもう夜なので、今日の晩御飯と明日の朝ごはんのみとなりますが」
「大浴場は何回でも入ってもいいんですか?」
「はい問題ありませんが、時間が決まっていて午前0時と午後0時は空いていません」
「分かりました。それでは部屋に行ってもいいですか?」
返事が返ってきたので質問が終わったと判断した私は案内を始めました。
「はい大丈夫です、案内しますついてきてください」
2階に上がり部屋に案内すると彼女はまた質問してきました。
「火事になったらどうするんですか?」
どうやら魔導ランタンを知らないようで説明をしました。
「それは魔力を流すと光るんですよ」
そういうと彼女は少し恥ずかしげに頬を赤くした。
「ご飯を食べたくなったら降りてきてくださいね」
そういうと私は降りて行きました。
そのあと彼女が大浴場に向かいに降りてきた時、今日泊まっているハイシ子爵様が声をかけたようだが、急に腰を抜かすとそのあと気絶してしまいました。
私は彼女を見ながら何故か彼女に対して警戒している宿泊者の護衛たちを見て、不思議に思っていました。
何が起きたかはわからなかったが、後でハイシ子爵様の護衛に聞いたところによると急に体調を崩されたそうです。
命に別状はなく問題もないようでよかった。
次の日もいつも通り私は朝早く起き、身支度をし仕事を片付けているとサツキさんが降りてきました。
彼女は私を見つけると言いました。
「今日もこの宿に泊まりたいので、お金を稼いでこようと思います」
私は少し焦りながら「きょ、今日もお泊まりになるんですか?」と聞くと頷いて肯定をされました。
「わ、分かりました」
そう返事をし私は宿の奥に行くと聖神に祈りました。
どうか彼女がお金を稼いでくるより先にブレイ様がきますように…と…。
次回は本編です
2日に一回投稿ぐらいになるかもしれません




