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バケモノに至し暗殺者  作者: ヤヒド
冒険者編
111/115

双子と不思議

最近全部長め

サツキは考えながらも、無意識にポルプの背後をしっかりとついていき声をかけられるとそこは部屋の前だった。


「サツキさん!」

「……」

「サツキさんっ!」

「ん、あ、ああ何?ついたの?」


呑気にそんなことを言うサツキをジト目で見ながらポルプは考えた。


(この人自分の足で歩いてきたはずなのに何で分かってないんだろう?僕が止まったらしっかり止まったりしてるのに…道中話しかけた時もなんか適当な返事が返ってきてたけど何かそういう設定でもして動かしてるみたいだなあ)

「…それはどう言う眼なのかな?ポープ?」

「いやっ!何でもないですっ!そしてポルプです!」

「ここが学園長のとこなの?」

「ははは、無視ですか…そうです」


サツキには強く出れない体にされてしまった哀れなポルプ(子羊)は、この関係を変えるために何か行動を起こさない限り永遠にポープと呼ばれ続けるであろう。


「じゃあ入っていいの?」

「はい、多分いいと思いますが一応ノックを」

「いやするよ?常識ぐらいあるからね」

「え?」

「……」


サツキがポルプを睨みつけた。


「い、いや、何でもないです…」


萎んでいったポルプを満足気に見たサツキは部屋のドアを叩いた。


「入りたまえ」

「…失礼します」


サツキはいつかの受験で使用した思い出のある面接の作法を思い出しながら扉を開けた。

そしてサツキの目に飛び込んできたのは…


「…ギルマス?」


昨日出会ったこの街のギルドマスターの姿であった。

しかしサツキは気付いていた、纏う雰囲気が少し違うことに。


「弟とはもう会ったようだな」

「っとすると、ギルマスのお兄さん?兄弟…双子?」


声の質もギルマスに似通っており、同じような格好をして並ばれたら判別が難しいほどに目の前の彼とギルマスは似ていた、というよりそのままだった。


「本当にギルマスじゃない?」

「そうだな、弟とは姿形は似ていても中身の差異は激しいものがあると自覚しているがどう思うかね?」

「まあ、確かに。似てもつかないね」


あくまで()()()と言う注釈がつくことになるが…。


「あっ、申し訳ありません。今後上司になる可能性がある学園長にこの言葉遣いは失礼でした、これからは改めさせていただきます」


死飼一族は嫌いな権力者には一切媚びずむしろ喧嘩を売っていくスタイルの暗殺一族だったが、普通に雇用関係となった際はその場で求められている態度をするのが教育としてされていた。

(配属される現場の流れに従うため、冒険者組合という自由をモットーとする場では相手が組合に所属しているかぎり丁寧な言葉遣いがされることはない)


「いや、結構だ。我が弟からも、カイロスのギルマスからも君のことは聞き及んでいる。先ほどのような態度でいい」

「そう?ならいいけど」

「…なかなか割り切っているな」


サツキの変わり身の速さに少々面食らう学園長を見ながらサツキは言った。


「それで…担当する学年とクラスを決めるって聞いたんだけど」

「ああ、そうだ。しかし君は運が悪いな」

「え?何で?」

「残りの学年とクラスが2年生のS、Aしか残っていないぞ?」


学園長は少し口角をあげながら言った。


「え?あなたは知っている人?知らない人?味方?敵?吐かせるか…」


サツキの物騒な独り言を聞き流し落ち着いたまま学園長は話す。


「空いているのには理由がある。一つこの学年に天才…この国を動かしていくことになる才能が数多く集まっており、国からの注目が高まっているせいでこの依頼を受けた他の冒険者達が2年生のここを選択しなかったこと」

「え?他の奴らいつ決めたの?」


サツキは少し不満気に言った。


「おや?気づかなかったかい?いや気づきようがないが、ここに来るまでわざと遠回りしていたことに」

「ポ〜プ!!」

「ポープ?君を案内したにはポルプだったはずだが…」


少し混乱している学園長をよそに後で怒りをポルプにぶつけようと決心したサツキは向き直った。


「え?じゃあ2年生の他は?」

「ああ、それはくじ引きをしていたよ。彼女は非常に辛そうにしていた…」

「他人事かよ…他人事か」


サツキは一通りツッコミを入れると聞いた。


「で?他の理由は?」

「…ちなみに2年生のB、C、Dは普通だ。二つ目の理由はこの学年にこの国の第三王子がいることだ」

「別に良いじゃん」

「そう、問題はない。しかし彼はSクラスにいて兄の第二王子が一つ上、三年生のSクラスにいる。彼ら兄弟は歳が近いこともあって競い合っているんだが、自然と派閥の形成をし始めている。つまり自ずと面倒ごとに巻き込まれる可能性が高いわけだ」

「これで2年生は二つのバツで3年生はバツ一つ、3年の方がましか?いやどちらにせよ監視されてそうだからどっちも変わらないけれどそれでも他の人たちは3年の方を選んだんだ…」

「そう言うことだ」


サツキはそう言って締め括った学園長を見る。


「学園長」

「何だ?」

「魔力って不思議」

「何を…!!」


言葉と同時にサツキの体内で魔力でない**が少し表層を表した。

言葉とは裏腹に、不思議なのは魔力でもあるがそれよりも何よりもサツキの**だった。

不思議♪


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次回も本編です。

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