表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バケモノに至し暗殺者  作者: ヤヒド
冒険者編
110/115

思考と精霊

評価ありがとござマス

「おはようございます!サツキさん!」

「あ、うん。おはよう」


昨晩は組合の上の階にある職員用室にて睡眠をとったサツキは朝起きると約束していた通り組合に来ていた(組合上から組合下へ)。

そこで昨日合否の判定をした男が待っていた。


「ここに泊まってたんですね」

「あ〜うん、ギルマスがいいって」


ギルマスの好意によりタダで宿にありつけたサツキは機嫌良さげな雰囲気を醸し出しつつそう答えた。


「それじゃあ学園に行きましょうか!朝ごはんは食べましたか?」

「ん?いや食べてないけど行くまでの道で何かあるでしょ?」

「そうですね…こんな時間なのでまだ店も空いてないかと…」

「え〜」


当てが外れてどうしようかと悩むサツキに救いの手が差し伸べられる。


「まあそんな事もあろうかと、しっかりと学園の食堂でパンをいただいてきました!」

「おお〜」


細かいところで気がきくこの男への好感度を少し上げつつパンを受け取るサツキ、そのパンは中世の黒パンでなく白パンではあったが少し硬めの、よく言えば食べ応えのあるパンであった。


「ありがとう…えっと、名前なんだっけ?」

「ああ!そういえば昨日も自己紹介してませんでしたね。僕はポルプと言います」

「ありがとう、ポープ」

「ポルプです」


サツキはそんな言葉を聞き流しながらパンをちぎって口に入れた。


「うん、いいパンだね」


事実学園という金のかけられた教育機関で出されているだけあって、この世界基準では中々高品質の良いパンであった。


「それは何よりです。それじゃあ行きましょうか」


ポープ…ポルプが先導する形で2人は学園に向かって歩き出した。


……


「着きました、ここが学園エルナメトの正門です」

「…無駄に高いね」


高い壁に囲まれた学園都市エルの中心に存在するにもかかわらず、それをさらに高く強固な壁とで守るという無駄の極みのような作りをしている学園にサツキは呆れていた。


「はは、そう言わないでくださいよ。この壁にも外敵対策以外にも色々あるんですって」

「ふーん」


そんなことを喋りつつサツキたちは正門を通り過ぎて壁伝いに歩き始めた。


「正門から入らないの?」

「ええ、教員要入口が少し行ったところにあるので」


しばらく歩くと先ほどとは打って変わってこじんまりとした裏口のようなものが見えてきた。


「大した差だね」

「はははははは…」


裏門にも警備が立っておりポルプが何かを見せると門を開けてくれた。


「で、ここからが…」

「はい、ようこそエルナメト学園へ!」

「…裏口だからなのかあまり見栄えは良くないけれども…」

「ううっ!それを言わないでっ!」


そんなふうに戯れながらサツキは周りの様子を伺った。


(ん?見られてる?でも素人だな、どこから見てるか丸わかりっ!)


グンッ!と振り向き視線の感じる方向を向くサツキ…しかしその方向には一切に建物がなく、またそこには誰も存在しなかった。


「あ、あれ?おかしいなあ…」

「ん?どうしました?」


同様のあまりついつい声を出してしまったサツキは、何でもないと誤魔化すと何かを言いながら歩き出したポルプについて歩きながら考えた。


(視線は…もう感じない、だけどなんていうか…ん、ん〜?魔力が動かしずらいな、ここ…ここっていうかこの学園か?)


まるでその場の魔力を掌握されているようなそんな感覚、試しに体の魔力を動かしてみると少し流れが悪く、その場だけでなく自分の中の魔力まで干渉されていることがわかった。


(まあ動かしづらい程度なら何とかなるけれど、この世界の住民たちと魔力なしで戦うってなるとどうしても体の性能差がきついな)


この干渉が強まり魔力が使えなくなった場合のことを考えるサツキはそんな状況でのシュミレーションを頭の中で組み立て始めていた。

それが僅かな可能性だろうが、実現し得るのならばその状況の打破のために事前に考えることができるのもサツキの強みであった。


(まあ魔力無しだと暗殺になるけど、プロ達…冒険ランクB以上は確実に、勝てないな。あの人達組合にいる間も「身体強化」を弱くし続けてるし、Cでも時々いるけれど…まあ()()()()()でも無傷は難しいな)


しかし僅かな可能性だろうが考えてしまうその性格のせいで話にどんどんとのめり込み、それ以外のところまで話が発展していってしまうことはサツキの悪癖でもある。


……


「彼女は、お前の眼にも気付いたな」

「*****」

「まあお前は精霊とはいえ素人だからな」

「**********」

「ああ、学園長の「掌握」にも気付いたみたいだ」

「******」

「まあ誰でも気づくだろ、あんな露骨なの」

「*******!」

「分かった!分かったって、お前が気づかないのはしょうがないだろ?ごめんって」

「**」

「分かった。やるよ、ほれ」

「***〜!」

「ったく学園長も性格も人も悪いぜ、もっと俺らを信用してもらいたいね」


男は嬉しそうに魔力を食べる精霊を見ながら言った。


「あの程度簡単に排除できるんだからさ」

噛ませ犬じゃないよ…たぶん


twitter始めたんで是非フォローしてください。リンクはこちら→ https://twitter.com/@era1006


面白かったと思ったらブックマーク登録と下に有る星を黒く染め上げていただけると幸いです。


レビューや感想も書いてくれると励みになります。


次回も本編です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ