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「なぎささんは不安になることありませんか?」


こんな気持ちになるのは自分だけではないだろうか。せっかく恋人ができたのに、不安になって落ち込んだりするのはおかしいのではないか。そんな風に思ったのに、目の前のなぎさはあっけらかんと言い放った。


「私?あるよ、いっぱいある。旦那五歳年下だからさ、他に若い子に目移りしちゃうんじゃないかーとか、結婚よりもまだ遊びたかったかなって。何度もケンカしたし、その度に大泣きして話し合いだよ」


「そうなんですか?!」


いつも元気ななぎさが落ち込んでいるところなど見たことがない和花は、なぎさもそんな悩むような恋愛をしていたなんて思いもよらなかった。結婚パーティーのときだってとてもケンカするようには見えなかったし、なぎさのわがままを何でもきいてくれそうな見るからに優しい雰囲気の旦那様だったからだ。


「でもさ、人と付き合うって、そういうことなんじゃない?だって育った環境が違うもの。考え方が違って当たり前でしょ。同じ環境で育った兄弟でさえケンカするんだから、赤の他人が分かり合うなんてお互いが相当努力しないとね。でもそれって、好きだからできる努力でしょ。好きでもないヤツにそんな労力使えないわよ」


「……なぎささんってすごいです。尊敬します」


目から鱗のようななぎさの言葉は和花の心にすっと入っていく。羨望の眼差しでキラキラと目を輝かせる和花に、なぎさは急に気恥ずかしくなって手をパタパタと振った。


「やあね、大げさだし。尊敬っていうなら、私こそ和花ちゃんのこと尊敬してるのよ」


「え?私?」


「何事にも一生懸命頑張ってるし、トラウマも克服しようと努力してる。人当たりも良いし私のわがままも嫌な顔せずに聞いてくれるじゃない。そんな素敵な和花ちゃんだからさ、佐伯くんと上手くいってほしいなって」


「……はい、頑張ります」


「頑張りはほどほどでいいのよ。その代わり自分の主張はしたほうがいいわよ。何かあったらまた私が話聞くし、なんなら私から佐伯くんにガツンと言ってやるわよ」


どこまでも頼もしいなぎさに、和花はようやく笑みを見せた。


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