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「はあ?それはないでしょ」


「だって佐伯さん、メールは冷たいって言うか……」


和花はあのビジネスメールを思い出して胸がぎゅっと締め付けられる。自分の受け取り方がよくないことは重々承知だ。けれど愚痴らなければこの気持ちは晴れない。


なぎさはふんと鼻で笑いながら、頬杖をついた。


「あー、わかる。佐伯くんってそういうとこあるよね。同期のグループメールでも、佐伯くんだけ既読スルーよ。返ってきてもわかったとか、そんなもの。感情が乏しいっていうか、あっさりしてるというか。自分の頭の中で完結しててそれを口に出すのが苦手なのかもね。これだから頭の良いヤツはやっかいだわ。それなのに直接しゃべればおっとりしてるじゃない。受け答えも優しいしさ、そういうところでカバーしてるよね。……ってごめん、なんか文句になっちゃった」


つらつらと感情のまま言葉にしたら目の前の和花が泣きそうな顔をしていることに気づき、なぎさははっと口を押さえた。


「佐伯くんがいいやつだっていうのは大前提にあるけどね」


慌ててフォローしてみるも和花の表情は晴れず、ただ小さく頷く。


「……皆さんにもそうなんですね。ちょっと安心しました」


「いやいや、安心しちゃダメでしょ。彼女なんだから。彼女は特別扱いしてもらわないとさぁ」


素直に納得しようとする和花になぎさは盛大にツッコミを入れた。なぎさは白黒はっきりさせるタイプで自分の主張も遠慮なくする。和花のようにものわかりのいい子でいようと努力する姿は大変に感心するのだが、恋愛においてそれは非常に危険だと感じた。


「和花ちゃん、もっとわがままになっていいんだよ。佐伯くんに遠慮してるでしょ?」


「……そうでしょうか」


「佐伯くんのペースに合わせてたら言いたいことも言えないんじゃない?」


「そんなことは……」


ない、と言いきりたかったのに、和花は言い淀んだ。急に図星をつかれたようになぎさの言葉が胸に響く。



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