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小刻みに震える和花の背中を秀人は遠慮がちに擦る。ああ、いっそのことこの小さな体を抱きしめたい。そんな風に感じて秀人は自分の無力さに唇を噛んだ。


難しい顔をして黙ってしまった秀人に和花は申し訳ない気持ちになり顔を上げる。秀人は視線に気づくとすぐに眉を下げた。


「僕は自分が情けない。偉そうなことを言っておきながらボディーガードにもなれなかった」


「いいえ、いつも守られてます。仕事の面でも気遣っていただいているし……」


秀人はハンカチを和花に握らせると、まだ目頭にたまっている涙を優しく親指で拭う。秀人の大きくて男らしい指が和花の頬を伝って、その感覚にジンと痺れた。


「橘さん、もう一度僕に護らせてもらえませんか?」


「そんなっ、これ以上ご迷惑はかけられません」


「そうじゃなくて。君のことが放っておけない」


「……どうして?」


「それは……」


秀人は口ごもる。

自分の気持ちは完全に和花に向いているのは確かだ。だがそれを口にしていいものか、躊躇う。和花は今弱っているからだ。その気持ちを付け狙うかのような言動は避けたい。



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