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そんな日が続いたある日。


「橘さんすみません、急遽会議が入ってしまって。少し待っててもらえますか?」


終業時刻を知らせるチャイムが鳴ると同時に秀人が慌てて和花の元へやってくる。まだ仕事をしていた和花は顔を上げた。


「あ、じゃあ今日は一人で帰ります。大丈夫ですよ」


「でも……」


「大丈夫ですって。ほら、会議遅れちゃいますよ」


秀人は後ろ髪引かれながらも和花に急かされて会議室へ赴いた。


一人で帰ると言ったものの、目の前の仕事はまだ広げたままだ。和花はキリのいいところまでと自分に言い聞かせ少し残業をした。もしかしたら秀人の会議が早く終わって一緒に帰れるかもしれないなどと淡い期待も寄せる。


だが秀人は一向に戻ってくる気配がなく、和花は残念な気持ちになりながらいそいそと帰り支度を始めた。


夕暮れは久しぶりに一人で帰る和花に寂しさを覚えさせる。


(佐伯さんに依存しすぎているのかも)


つい最近まで一人で帰ることなど平気だったはずなのに、こんなにも秀人のことが恋しくなっている。


毎日たわいもない話をしながら笑い合える関係をいつまでも続けたい。いつだって無愛想な秀人は和花の前では柔らかく笑うのだ。それが和花にはたまらなく嬉しいし、自分も秀人の前では上手く笑えているように思う。


(早く明日にならないかなぁ)


明日の朝はまた秀人が家まで迎えにきてくれる。申し訳ないと思いつつも、まるで恋人みたいな関係に和花は心密かに酔いしれていた。



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