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秀人は和花が気になりながらも電話を受け取り、いつも通りの対応をする。その間も時々和花をチラリと何度も確認していた。


和花は胸に手を当て、時折小さく息を吐き出している。過呼吸になっているわけではなさそうたが、その姿から何かがあったことは容易に想像できた。


秀人はさっさと電話を終わらせると席を立って和花の隣まで行く。


「橘さん、何か様子がおかしいけど、HOKUTOシステムに何か言われましたか?」


その言葉に和花は肩を震わせた。


HOKUTOシステムの三井について今まで誰かに相談することもなく、ましてや悟られることもなかった。自分で解決するか時が解決してくれるのをじっと耐え忍んでいたのだ。それなのに今、秀人は何かを感じ取っている。


和花は知られてしまったことの恥ずかしさや悔しさ、と同時に気づいてもらえたことの嬉しさも相まって思わず目頭が熱くなる。みるみるうちに溢れんばかりの涙の雫ができた。


ついにポロっと溢れ落ちたとき、秀人は戸惑いのあまり言葉を忘れて立ち尽くしてしまった。


「……橘さん」


「……ぐすっ」


和花が慌てて涙を拭ったとき、ちょうど通りかかった高柳がぎょっとして秀人を非難の目で見る。


「うわっ、佐伯チーム長が橘さんを泣かせた!」


「えっ」


「林部さんに報告しないと!」


「ち、ちょっと待って!」


秀人の制止は意味をなさず、とんだ大騒ぎとなったのだった。


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