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【先日は美味しいケーキをありがとうございました】


紙袋を覗き込むと可愛らしいメッセージカードが入っており、秀人はそれを手に取った。

これまた可愛らしい和花の筆跡に思わず目を細める。


まるで自分から逃げるように走り去った和花の姿はもうすっかり見えなくなっていた。一人で大丈夫だろうかと心配になったが今さら追いかけるのも何だかおかしい気がして、秀人は一人改札をくぐった。


家に帰ってから改めて紙袋の中を確認すると、チーズの香りがふわっと鼻を掠める。ゴロゴロチーズがたっぷりと練り込まれた食パンであり、秀人はごくっと喉をならした。


厚切りにしてトースターで焼くと更にチーズの香りが広がり秀人は大きく息を吸い込んで一口かじる。


「うまい!」


自然と声に出てしまうほど、芳醇で口当たりのよいパンだった。


食べながら和花のことを思い出す。

“男性不信なんです”とかいいながら自分の前では真っ赤な顔でプルプルしている姿。


(あれは嫌がっているわけじゃないよな)


さすがの秀人も和花の好意に気付き始めていた。秀人の方こそ和花のことを受け入れ始めている。けれど今まで良い恋愛をしてこなかった秀人は二の足を踏んでしまう。


自分に和花を幸せにしてあげられるだけの力量があるだろうか。秀人には学歴と社名でちやほやされた時代があった。

だけど毎回言われるのだ。


”佐伯くんってつまらない”

”結婚するならスペックの高い佐伯くんだけど彼氏としてはないよねー”


そんな陰口を叩かれたことだってある。


「はあー」


思わずため息が出てしまう。

秀人こそ、女性不信なのかもしれない。


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