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「今、産業医を呼んできますから」
和花の状態からこれ以上の受け答えは無理だと判断し、秀人は和花の首にかかっている社員証の入ったネックストラップをなるべく負担の少ないように外した。
「はぁっ、す、すみません……はぁっ、」
涙目で視界がぼんやりとするが何とか秀人のことを認識した和花は、朧気ながらにも今助けてもらっているという感覚だけ感じ取った。
「大丈夫ですから、待っててください」
秀人は安心させるように和花の背中を緩やかに擦ってから、この場に一人で置いていっても大丈夫なものかと心配しながら、社員証を握りしめて健康管理室へ急いだ。