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(でも、やっぱり……)


息が詰まりそうになったとき、突然ぐっと肩を引かれトンっと誰かに背を預けるかたちになった。頭の上から聞こえる低く凛とした声に体が痺れそうになる。


「悪いけど、ナンパならよそでやってくれ」


見上げれば秀人が難しい顔をして和花の肩を抱いていた。


「なんだよ、男連れかよ」


秀人に対して小さく舌打ちをするとすぐに男は去って行ってしまった。

秀人は小さく息を吐き出してから和花を覗き込む。


「大丈夫?」


「すみません、ありがとうございました」


「いや、こちらこそ放っておいてすみません」


「佐伯さんが謝ることはないです。私が上手く対処できないだけで」


「ああいうのは苦手ですか?」


「苦手というか、今日の外国人といい、なぜか声をかけられやすくて困ってます。声をかけてもらえるのは光栄なんですけど、怖い気持ちが先に来てしまって」


「……昔からですか?」


「いえ、……実は学生のときにストーカーに執着されたことがきっかけで少し男性不信でして。あ、いや、それも大分克服できてるんですけど、知らない人から話しかけられると萎縮してしまって。情けないです。せっかくなぎささんのパーティーなのに」


しゅんと項垂れる和花に秀人は目を細めた。


「橘さんは可愛らしい方ですからね、好きになる男性も多い気がします。橘さん、僕のことは大丈夫なんですよね?」


「え、はい」


「では今日は僕と一緒にパーティーを楽しみませんか?」


「でも、ご迷惑じゃ……?」


「知り合いは多いのですが、僕も人付き合いが苦手なのでどうにも輪に入れなくて。一緒にいてもらえると助かります」


「あ、ありがとうございます。私でよければぜひっ」


二つ返事で頷く和花に、秀人は軽く咳払いをひとつ。そして目元を緩める。


「じゃあ今日は無礼講で楽しもうか」


突然のラフな言葉づかいに和花の胸はドキリと高鳴った。

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