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時間になり受付まで迎えに行くと、三井ともう一人上司だろうか年配の男性も一緒にいた。

和花の姿を確認すると、三井は丁寧にお辞儀をする。和花も失礼のないようわずかに微笑んでお辞儀をした。

「お待たせいたしました。ご案内致します」

和花が先を歩くと歩幅の大きい彼、HOKUTOシステムズの三井はすぐに隣に並ぶ。

「いやあ橘さん、いつもエスコートすみません」

「……いえ」

名前を呼ばれただけでぞわっとした感覚が体を駆け巡った。震えそうになる手でエレベーターのボタンを押す。

(大丈夫、今日は二人きりじゃないから、大丈夫)

和花は深呼吸すると意を決してエレベーターへ乗り込んだ。会議室のある五階まではあっという間だ。

特に誰かが喋ることもなく、エレベーターは何事もなく五階へ到着した。

和花は開くボタンを押して先方を先に促す。

三井の上司が降り、続いて三井が降りるその時に、ふいに耳元に囁かれる言葉。

「連絡先の交換考えてくれた？」

思わず後ずさって三井を見るも、三井はニヤニヤといやらしい笑顔を向け、和花は一気に血の気が引いた。