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「ありがとうございます。あ、佐伯さんはエレベーターを使ってください」

「階段は暗くて危ないので一緒に下まで行きましょう」

「え？！」

和花が大げさに驚くので、秀人もはっと思い出す。エレベーターでも階段でも、自分が一緒にいたら“男性と二人きり”になってしまうではないか。

「……あー、一人の方がいいかな？」

「あ、いえ、すみません、ありがとうございます」

その答えがどちらの意味かわからず、秀人は頭を悩ます。一緒にいた方がいいのか、一人にさせた方がいいのか。

和花もどうしたらいいのかわからず困っていた。秀人の歓迎会なのにいきなり迷惑をかけているようで申し訳ない。だけどその優しさは嬉しくも思う。

「……えっと、どうしますか？」

「……階段でお願いしていいですか？」

おずおずと小声でお願いする和花に、秀人は「いいですよ」とわずかに目元を緩ませた。

かくして和花と秀人は薄暗い非常階段を一緒に一階まで下りることとなった。