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「本当に驚きましたね。橘さんはその後大丈夫だったんですか？今は平気そうですが」

「そうだね、橘さんは男性と二人きりになるのが苦手なんだ」

「はい、それは少し聞きました」

相槌を打ちつつ、和花が苦手なのは“誰かと二人きりになること”でも、“男性”に限定されていることを理解した。

「私も詳しくは知らないけど、何かトラウマがあるらしくてね。配慮していたつもりだったんだが、エレベーターは盲点だったな。といっても、いつも来客のエスコートをしてもらっていたからその日もいつも通りお願いしただけなんだけどね。何かあったのかなぁ？結局大丈夫の一点張りで教えてくれなかったけど」

秀人は思い出す。

秀人が見ていたのは、来客に向かって頭を下げていた和花で、そのあとおぼつかない足取りでフラフラと階段の前で倒れこんだところだけだ。

そんなに二人きりがつらかったのだろうか。もしくはエレベーターが怖かったとか。

いや、だとしたら普通は乗らないと思うが。