表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/100

100

***


帰り道。

いつも通り秀人が和花を送っていく。


「お先に失礼します」と挨拶をした和花とそれを追うように席を立った秀人を、同僚たちはあたたかい目で見守っていたことは言うまでもない。


「私、今日感動しました」


ハニカミながら和花が呟く。


「うん?」


「今まで自分のことばかりでまわりをちゃんと見てなかったなぁって。男性不信を理由に人と深く関わらないようにしていたんです。悪い人ばかりじゃないってわかっていたつもりだけど、わかっていなかったみたいです。皆さんからお祝いされて、私はいつも自分から壁を作ってたんだなって。佐伯さんのおかげで知ることができました」


いつも和花に寄り添ってくれるなぎさだけでなく、元上司の林部にチーム員の高柳も小百合も、皆が和花と秀人の交際を喜んでお祝いの言葉をかけてくれたことは和花にとって心を打たれる出来事であり、恥ずかしさを差し引いても感慨深いものとなった。


「僕も和花のおかげでわかった。今まで自分の恋愛が上手く行かなかったのはちゃんと相手を見てなかったんだなって。和花を好きになって、大切で守りたいって、本気で思うんだ」


「佐伯さん」


「もう会社出たんだから、名前で呼んでよ」


「……秀人さん」


小さく秀人だけに聞こえる声で名前を呼ぶと、秀人は和花の手を取りぐっと引き寄せ耳打ちする。


「和花やばい。名前で呼ばれると和花を抱きたくなる」


「えっ!」


「だって和花可愛いから」


そのまま耳たぶにちゅっと可愛い音を立てられ、和花は体が熱くなるのがわかった。握っている手がしだいに絡み合う。


「ひ、秀人さん、お家に帰ってから」


「帰ってからならいいの?」


甘く微笑む秀人に、和花は頷くしかない。

今夜も甘い夜になりそうな予感を感じさせながら、二人は幸せそうに夜道を歩いていった。



【END】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ