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刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


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97.騎士団長との戦い⑨

「お前が驚いているということは、あの竜があの魔法を使ったのは、これが初めてということか……」

「そ、それは……」

「どうやら、図星のようだな……この戦いの中で、竜はさらに進化したということか……」


 ローディスは、先程の雷がリルフが新たに得た力であるということをすぐに理解していた。私がこれだけ困惑しているので、それは当然のことだろう。


「どうせ、あの竜は理解していることだ。あれがどのようなものであるか、教えておいてやろう。あれは、サンダーという魔法だ」

「サ、サンダー?」

「風の魔法の中でも、かなり難しいとされている魔法だ。雷のような現象を引き起こすことができる強力な魔法といわれている」


 ローディスは、私に対して魔法の説明をしてくれた。こういう所で、わざわざ説明してくれるのは、彼の騎士団長としての誇りのようなものが伺える。

 どうやら、リルフの魔法はサンダーというものであるらしい。雷のような現象を引き起こせる強力な魔法。それは、この戦いの切り札になるかもしれない。


「だが、竜はまだあの魔法を制御できていないようだ」

「え?」

「制御できているならば、俺に直接当てることができるはずだ。それをしなかったということは、少なくとも狙いを定めることはできないということだ」


 ローディスの考えは、納得できるものだった。確かに、リルフはこの魔法をまだ制御できていないだろう。

 難しいとされている魔法だ。いくらリルフでも、それをすぐに制御することはできないのだろう。


「リルフ! あなたはサンダーを放って!」

「え? でも……」

「私に当たるとか、そういうことは気にしなくていい! あなたの魔法が当たれば、勝てる! だから、魔法を放って!」

「お母さん……」


 私は、リルフにサンダーを打ち続けてもらうことにした。あれが当たれば、勝てると思ったからだ。

 正直言って、ローディスはとても強い。剣技で追い詰めていくのは、かなり難しいといえるだろう。

 だから、強力な魔法で一気に勝負をつけたい。そのためにも、リルフには魔法を放っていて欲しいのだ。


「自分も魔法を受ける可能性があるということを、理解しているのか?」

「もちろん、わかっているよ」

「それを理解した上で、その判断か……覚悟を決めたということか……」


 私が構えると、ローディスも構えた。お互いに、リルフのサンダーに当たる可能性がある。そんな中での戦いは、今までにも増して緊張感がある戦いになるだろう。

 だが、今の私達が勝つためには、この方法しかない。なんとかして、ローディスにサンダーを当てるのだ。

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