63.王都にて⑤
「転生竜がその知識を得る方法には、お主が関係している」
「え? 私ですか?」
そこで、国王様が私に視線を向けてきた。転生竜が知識を得る方法。それは、一体どういうものなのだろうか。
「転生竜は、親と定めた者から知識を得る。その者の考えを吸収することによって、新たなる知識を得るのだ。人間には、個々の考えがある。それこそが、転生竜にとって最高の知識なのだ」
「個々の考え……」
転生竜の性質を聞いて、私はある程度納得することができた。確かに、育ててくれる人から受け継げるものというのは、何にも代えがたいものであるだろう。
人から受け継げる知識というのは、同じではないはずだ。人間には個々の考えがあり、それが全て合致することなどあり得ないだろう。つまり、その知識を受け継ぐことは、かなり有意義なことなのかもしれない。
「リルフが私から……」
「お母さん……?」
そんなことを思いながらも、私は別のことを考えていた。
リルフは、何度も転生を繰り返してきた。誰かを親と定めて、その生を歩み、また転生する。
その性質に、私は奇妙な感覚を覚えていた。よくわからないが、それはあまりいい感覚ではない気がする。
「転生竜は、最終的には成体となる。その成体が取る行動は、親によって大きく変わっていくといえる」
「……どういうことですか?」
「例えば、親が善人であるならば、王国に繁栄をもたらす。逆に親が悪人であったならば、王国を破滅させるだろう」
「そんな……」
国王様の言葉に、私は驚愕していた。転生竜が成体になることによって、王国に影響が及ぶことに驚いたのだ。
「我が国は、竜の力によって繁栄したそうだ。かつて、一人の人物が竜を良き方向へと導いたことによって、その繁栄の力を得たのだ。その人物は、私の祖先にあたる人物だ」
「この国が……竜によって繁栄した……?」
「その前にあった国は、竜によって滅ぼされたらしい。悪人に育てられた結果、竜は破滅をもたらしたのだ」
「ということは……」
国王様の話が、どういう結論になるのか。私には、それがある程度予想できていた。
予想できてしまったから、私の体は少し震えていた。もしその予想があったていたら、そう思うと気分が重くなってくる。
「フェリナよ。この国の未来は、お主にかかっている。お主がリルフをどう導くかによって、この国の運命が決まるのだ」
「そ、そんな……」
私が予想していた通りの言葉が国王様の口から発せられたことで、私は思わず声を震わせていた。
私が国の運命を握っている。そのあまりにも重大な事実に、私は押し潰されそうになっていた。




