表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/100

61.王都にて③

 私とリルフは、騎士団の副団長であるウェルデインに連れられて、玉座の間まで来ていた。

 話には聞いていたが、玉座の間というのはなんだか荘厳な雰囲気である。いるだけで押し潰されそうな奇妙な感覚に私は少し尻込みしていた。

 だが、隣で不安そうにしているリルフを見ていると、そんな気持ちはすぐに切り替わっていく。私がしっかりとしないといけない。そういう気分になってくるのだ。


「あっ……」


 そんなことを考えていると、足音が聞こえてきた。いよいよ、国王様が現れるようだ。


「リルフ? いい? 跪くんだよ?」

「うん。大丈夫、ちゃんと覚えているよ」

「そっか、それなら良かった」


 私は、リルフに声をかけておいた。安心させるのと確認するべきことがあったからだ。

 国王様の前では、跪かなければならない。それが作法であるそうなのだ。

 私は、作法にそこまで詳しい訳ではない。だが、リルフは私以上にそういうことをわかっていなかった。事前に言っておいたが、それを覚えているかどうかは確認しておきたかったのである。

 賢いリルフは、私の言ったことをきちんと覚えているようだ。それなら、作法については特に心配する必要はないだろう。


「あっ……」

「リルフ……」

「うん……」


 そんなことを考えている内に、私達の前に一人の男性が現れた。華々しい服を纏った初老の男性は、玉座に腰を下ろして、私達を見下ろしてくる。

 私とリルフは、ゆっくりと膝をついた。まず間違いなく、目の前に現れた男性が国王様である。


「楽にしてくれていい」

「は、はい……」


 国王様の言葉に、私達はゆっくりと立ち上がった。この合図があるまでは、跪かなければならないというのは、なんとも難儀なものである。


「二人とも、よくぞ来てくれた。わしは、この国の王……バルディード・オーファニスだ」

「あ、えっと……私は、フェリナです」

「ボクはリルフ……です」

「そんなに固くならなくてもよい。といっても、無理ではあるか」


 とても緊張している私達に対して、国王様は笑みを浮かべた。その笑みは、穏やかで温かみがある笑顔だ。

 その表情に、私もリルフも困惑する。国王様の笑顔には、裏があるとはまったく思えなかったからだ。

 副団長であるウェルデインの笑みには、何か裏があるように思えた。それなのに、国王様がそんな笑顔なので、なんだか少しおかしいように感じる。

 もっとも、それは私達の感覚でしかない。二人とも実は裏がない可能性も、裏がある可能性もない訳ではないだろう。

 結局、私達はまだ国王様達を心から信頼することはできそうにない。まだまだ警戒しておく必要があるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ