59.王都にて①
私とリルフは、ラナキンス伯爵が手配してくれた馬車で、王都まで来ていた。
王都までの旅路は、実に丸二日もかかった。アルバナスを出発してから二泊してから、やっとここまで到着したのである。
「ここが、王都なんだね……」
「うん……そうみたいだね」
「すごいね……」
「うん……」
私もリルフも、王都に辿り着いてから感嘆していた。アルバナスや他の町とは桁違いの活気に、私達は圧倒されていたのだ。
リルフはもちろん、私も王都に来るのは初めてだ。しかし、私の場合は話に聞いていた。それでも、実際に来て見てみると王都がすごい場所だと改めて実感した。
私でもこれなのだから、リルフはもっと衝撃だろう。王都という町は、私達にとってとても刺激的な場所である。
「長い旅だったけど……ここが一番すごいや」
「うん。そうだね……」
今回の旅は、私とリルフ以外には誰もついて来ていない。ミルーシャやメルラムはついて来ようとしたのだが、ラナキンス伯爵に止められたのだ。
御者もいるが、事務的な会話を交わすだけだったので、実質的にはリルフとの二人旅になった。ほとんど馬車に乗っているだけだったが、その景色を見て色々と感想を述べるリルフとの会話は中々に楽しかった。
もし機会があるならば、またリルフと旅をしたいと思う。馬車の中だけで完結する旅ではなく、色々な所を見て回る旅を。
それは、きっと楽しいものになるだろう。いや、絶対に楽しいものになる。
その旅が実現するように、今回の訪問が無事に終わることを願っておこう。
「……リルフ、いよいよ着いたみたいだよ」
「うん、そうみたいだね……」
先程まで王都の大通りを走っていた馬車は、だんだんとその速度を落としていく。窓から景色を見ていたので、何故そうなったかはすぐに理解できた。
私達が今いるのは、王城の前である。今回の旅の目的である国王様がいる場所に、着いたのだ。
「何か話しているみたいだね……」
「うん、王城の前だからね。しっかりと確認しないと中には入れなんだと思う」
「そうなんだ……色々と大変なんだね」
馬車が止まってから、御者と王城の前にいる門番が何か話を始めていた。
当然のことながら、王城は誰でも入れる場所という訳ではない。そのため、色々と確認しているのだろう。
「……なんだか、緊張してきたかも」
「そうだよね。緊張するよね。仕方ないよ、こればっかりは」
私は、ゆっくりとリルフの手を取った。その行動は、この子を安心させるという目的もあったが、私自身もその温もりで安心したいという意図があっての行動だ。
王城まで来て、私もとても緊張している。これから、どうなるのか、正直不安でいっぱいだ。




