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刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


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46.迷える心②

「行き先がわからないなら、町全体を探すしかないな……」

「そうだね……そうするしかないかも」

「……それなら、人手がいるということね」

「え?」

「何?」


 話し合っている私達の耳に、聞き覚えがある声が聞こえてきた。その声が聞こえてきた方向を向くと、ミルーシャとメルラムがいる。


「二人が騒いでいたから、私達も目覚めたのよ」

「話は聞いていたよ。リルフがいなくなったんだよね?」

「うん、そうなんだ」

「私達も探すわ。人数は多い方がいいだろうし……そもそも、私達はそのためにここに残ったみたいなものなんだから」


 ミルーシャとメルラムは、私達に協力してくれるつもりのようだ。二人を起こそうか迷っていた所なので、その申し出はとてもありがたい。


「本来なら、お前達を頼りたくはないんだが……あの子を早く見つけるためには、人手がいるか……」

「兄貴……」

「はあ、騎士としては情けない限りだなあ……」


 兄貴は、少しだけ落ち込んでいた。リルフを探すということは、危険を伴うことである。それに、私達を巻き込むことが嫌なのだろう。

 だが、今はリルフを見つけることが最優先である。人手が多い方が、人は見つけやすい。そのためにも、私達の協力は不可欠なのだ。


「皆、きちんと準備をするんだ」

「準備?」

「念のため、自分の身を守れるものは持っているんだ。あいつらがまた来ないとも限らないからな……」

「……そっか。そうだよね」


 兄貴の言葉に、私はゆっくりと頷いた。確かに、あいつらと出会う可能性はあるのだから、武器は持っておいた方がいいだろう。

 私であれば、剣だ。あれがあるのとないのでは、私の戦力は大幅に変わる。


「それじゃあ、五分後に玄関に集合しよう。その後は、分かれて捜索だ」

「わかった。それじゃあ、準備してくるよ」


 私は、急いで自室へと向かった。三人は宿屋の部屋を使っているが、私の方は従業員用の部屋だ。少しだけ距離がある。

 その部屋に戻る途中、私は見知った顔を見つけた。エルッサさんである。どうやら、彼女も起きたようだ。


「フェリナ、何かあったんだね?」

「えっと……リルフがいなくなったんです」

「なるほど……探しに行くんだね?」

「五分後に、玄関で」

「わかった。私も行くよ」

「……ありがとうございます」


 エルッサさんは、すぐに状況を理解してくれて、協力してくれると言ってくれた。

 こういう時の彼女は、本当に理解が早い。人生経験を私達よりも積んでいるから、あのように判断力があるのだろうか。

 そんな疑問を抱きつつ、私は自室に戻ってきた。素早く服を脱ぎ捨てて、動きやすい服に着替える。

 そして、普段はほとんど使っていない剣を手に取った。まさか、これを使う日が来るなんて、思ってもいなかったことである。


「行こう……」


 私は、剣を背中に装備してから、部屋を飛び出した。

 こうして、私は玄関に向かうのだった。

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