表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/100

39.怪しげな集団③

「俺はこのアルバナスの駐在騎士アラーグだ。騎士の名において、お前達を拘束させてもらう」

「騎士か……」


 兄貴の登場に、怪しげな集団は少しだけ驚いた。だが、すぐに平静を取り戻す。こんなことをする者達なので、騎士の登場はある程度予測していたのだろう。

 もっとも、その登場は予想よりも早かったはずである。本来ならば、騎士が来る前に決着をつけたかっただろう。


「はっ! 騎士の登場など予想通り……たった一人で、この数を相手できるとでも?」

「あまり騎士を舐めないでもらいたい。この程度の数を相手できなければ、騎士の名折れというものだ」

「ふん……減らず口を叩きおって!」


 兄貴に向かって、数名の男達が襲い掛かってきた。兄貴を舐めているのか、はたまた戦い慣れしていないのか、三人で正面からぶつかるつもりのようだ。

 男達の武器は剣である。その間合いは、近距離だ。一方、兄貴の武器は槍。その間合いは、中距離。剣よりも広い。

 つまり、兄貴の間合いに先に入る。それなのに、正面から向かって行くというのは愚行でしかないだろう。

 男達が、数で押せば勝てると考えている可能性はある。しかし、騎士である兄貴には、そのような理論は通用しない。


「減らず口を叩いているのは、そちらのようだな?」

「何?」

「ふん!」

「あがっ!」


 兄貴は、冷静に三人にそれぞれ突きを食らわせた。その場から一切動かず、向かってきた男達を捌いたのだ。

 男達は、ゆっくりと地面に倒れた。兄貴は足を狙って槍を突いたようだ。恐らく、あの者達はしばらく立ち上がれないだろう。


「さて、次は誰かな?」

「ぬぐぅ……」


 兄貴のおかげで、怪しげな集団の勢いは削がれていた。先程まではすぐにでもこちらに襲い掛かって来そうだったのに、まったく動かなくなったのだ。

 迂闊に近づくことができない。兄貴の存在によって、向こうにはそのような思考が芽生えているのだろう。


「くっ……全員、かかれ! 騎士は何人かで相手すればいい! その隙に奴を捕らえるのだ!」


 そこで、一人の男の怒号が響いた。その指示は、この場にいる全員での攻撃だった。

 兄貴のおかげで、相手が何人いるかは数えられている。合計、十二人だ。

 既に三人伸びているため、残っているのは九人。この数で一気に仕掛けられたら、流石に兄貴でもまずいかもしれない。


「ミルーシャ、いける?」

「ええ、いつでも大丈夫よ」


 私は、ミルーシャに確認を取った。彼女の火の魔法は強力だ。私なんかよりも、余程戦力になる。

 そんな彼女が準備できているなら、三人くらいは倒してくれるだろう。一人くらいは、私もなんとかできる。丁度、そこに武器もあることだし、頑張れば二人くらいは倒せるかもしれない。


「……兄貴、前の二人は私に任せて」

「……市民を危険な目に合わせる訳には行かない」

「向こうは玉砕覚悟で、この子を狙っている。多分、兄貴だけだと、この子を連れ去れてしまう」

「はあ、始末書ものだな……」


 私達が戦うことを、兄貴は了承してくれた。市民が戦うことをあまり快く思わない兄貴だが、流石に状況が状況なだけに了承するしかなかったのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ