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刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


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33.伯爵家にて③

 使用人の案内で、私はミルーシャとメルラムの元に来ていた。

 当然のことではあるが、二人は私が連れてきた少年とも少女ともわからない子に驚いていた。とりあえず、私はその辺りの事情から説明することにする。


「二人とも、この子はリルフなんだ」

「リルフ? あの小さい子が、この子だっていうの?」

「うん、そうだよ」

「嘘……信じられない」


 私に対して、ミルーシャはとてもわかりやすい反応を示してくれた。やはり、あの小さな姿からこの姿になることは驚くことであるようだ。

 そのことから、リルフが魔法を使って変化したとしても、それはミルーシャの理解が及ばないことなのではないかという予想もできた。


「なるほど、竜が人に変化するというのは、読んだことがあるね。でも、実際に見てみると信じられないものだよ」

「ああ、そういえば、メルラムはあのメモにもそう残していたね」


 一方で、メルラムは比較的冷静だった。彼には、竜が人に変身するという知識があるからだろう。


「あ、メルラム、ありがとうね。あのメモのおかげで、色々と助かったよ」

「そう? それなら、良かったよ」


 私の言葉に、メルラムは少し照れていた。自分の知識が役に立ったことを、喜んでいるようだ。

 彼の知識は、今までも私のことを何度も助けてくれた。メルラムは何かわからないことなどがあった時に、とても頼りになる人物なのだ。


「えっと、ミルーシャさん、メルラムさん、ボクは本当にリルフなんです。信じられないかもしれないけど、あの姿から人間の姿になったんです」

「そ、そうなのね……まあ、あなたは不思議な生物だったんだし、そういうことがあってもおかしくはないのかな?」

「まあ、僕は本で読んでいたから、なんとなく理解できるよ」


 リルフの言葉もあってか、ミルーシャも納得してくれたようである。これで、リルフの状態を説明することができた。だが、問題はここからだ。


「それで、ミルーシャに聞きたいことがあるんだ」

「え? 私に?」

「うん。リルフの変身についてなんだけど、多分魔法なんじゃないかと思うんだ。だから、魔法の名手であるミルーシャの見解を聞きたいんだ」

「魔法……魔法ね。それは、確かに、そうなのかもしれないけど……」


 私の言葉に対して、ミルーシャは考えるような仕草をした。その表情は、あまり明るいものではない。やはり、彼女にとっても、リルフの変身は不可思議なことであるようだ。

 ということは、リルフの変身は魔法ではなかったということなのだろうか。ミルーシャがわからないのだから、その可能性も高いのかもしれない。

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