27.変身の謎⑤
夕食も終わって、私とリルフはお風呂場に来ていた。
リルフは、炒飯を喜んで食べてくれた。その小さな体に、そんなに入るのか。そう疑問に思う程、いっぱい食べてくれたのだ。
ただ、それは人間の姿であるならば、違和感がない量だった。考えてみれば、昼のサンドウィッチも、こちらの姿なら結構な量であるように思える。
食事について、疑問は色々とあった。だが、私はそれも気にしないことにしている。
いくら考えても、答えは出ない。出ないのだから、気にしない。それは、今日何度も思ったことだ。
「さて、それでお風呂なんだけど……」
「ピィ?」
「リルフは、水は平気なのかな?」
「ピィ!」
私の質問に、リルフは大きく声をあげた。多分、これは平気ということなのだろう。
この子が竜であると仮定するなら、水は平気である可能性が高い。なぜなら、海や湖の中に住んでいるといわれているくらいだからだ。伝承で、そう言われているのだから、流石に大丈夫なのではないだろうか。
「まあ、でも、とりあえず、試してみようか?」
「ピィ?」
「この桶に、お湯を入れて……はい、入ってみて」
「ピィ!」
私は、桶にお湯を入れて、その中に入るように促した。すると、リルフは迷うことなくそこに入っていく。
「ピィ! ピィ!」
「あ、大丈夫みたいだね?」
「ピィ!」
お湯に浸かって、リルフは少しはしゃいでいた。お湯が気持ちいいということなのだろうか。
とにかく、この子はお湯に浸かっても問題ないようだ。それなら、後で一緒にお風呂に入るとしよう。
「ピィ……」
「うん? リルフ? どうかしたの?」
「ピィ、ピィ……」
「あれ? なんだか震えている?」
そんなことを思っていると、リルフの様子が突然変わった。先程まではしゃいでいたはずなのに、縮こまって震え出したのだ。
まさか、お湯が駄目だったのか。そう思い、私はリルフに手を伸ばした。とりあえず、お湯から出そうと思ったのである。
「ピィ!」
「うわあっ!」
しかし、私はリルフの体から放たれた光に、思わず体を止めてしまう。
その光には、見覚えがあった。これは、この子が生まれる時に放っていた光だ。
同時に、この子が変身する時に放たれていた光でもある。ということは、リルフが人間の姿になるということなのだろうか。
「ピィ……」
「え?」
私の予想に反して、リルフは小さな姿のままだった。ただ、何も変化がないという訳ではない。
リルフの体色は緑色だったのだが、青色に変化している。それ以外は変わっていないのだが、そこだけ変わってしまったのだ。




