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第四話 爆弾からのステータス

本日四話目です。

 問題はスペックのところではない。まずは外見だろう。何をどうしたらその外見になるんだ? 一擦りもしていないその外見は完全にアウトだろう。

 母親から生まれたところを見なければ、どこから拾ってきた? と疑問に思われても仕方がないレベルで違うぞ。


「これでも国によってはヤバいスペックの赤ちゃんだから、誕生と同時に職業を持たせるのはやめたわ。というか、それをやっちゃうと神子になっちゃうから。あなたが神子になると百パーセント家族に殺されるからやめといたわ」


「こ、殺される……? どうしてですか?」


「だってもう神子はいるじゃない。あなたのお兄さんが。職業授与の儀式は五歳になる年の新年祭に行われるんだけどね、お兄さんは未だに無職なのよ。神子は生まれた瞬間から勇者の職業に就いているんだけど、今回は異世界召喚があったから保留にしたの。ちなみに彼の職業はあなたに対する接し方で決めるつもりよ。外見が全く違う上に血の繋がっていないハーフの弟に優しくできるかが、彼の将来は決まるってことね」


 なるほど……。無職の神子の弟が職持ちの神子だったら憎しみしかないだろうな。しかも外見が全く違う他人の子となれば、殺して存在抹消を選ぶか。


「一応の確認ですけど、母親は複数いる感じですか?」


「三人いて、三人目の最初の子どもがあなたよ」


 ……最悪。


「では神子でなかったら生き残る理由とはいったいなんでしょうか?」


「神子は病弱で寝たきり生活を送っているのよ。あなたが誕生するときには六歳になっている年だろうけど、寝たきりで自室内で習得できるスキル以外は持ってないし習熟してないの。成人は十五歳で獣人族は成長が早く、十歳では成人と同じ体格ね。しかも伯爵家は武門の一族ということが最大の要因となるわ。つまり神子でなかったら、あなたは予備としての価値が出てくるのよ。今のままでは次男が使えないからね」


 愛犬のモフ丸ロスで体調を崩していたから分かるけど、病人って肩身狭いから他人が思うよりもいい生活はできないんだよな。


 たまに病人って同情してもらえるし優しくされるし、家や病院で寝ているだけだろ? めちゃくちゃ羨ましいんだけど。代わってくんねぇかなとか言う人いたけど、そんなに楽しいものではないって当事者なって気づくんだよな。

 そういうヤツに限って「何で俺(私)が!?」って言うんだけど、あなたたちが馬鹿にした人たちはすでにその道を通って、歯を食いしばって前を向いて歩いているんですよと言いたい。

 まぁ俺の場合は言う前に突き飛ばされて死んだわけだが。


 少し横道に逸れたが、病人の気持ちは分かるぶん接しづらそうではある。


「ではそろそろ出発してもらうことになるのだけど、いくつか言い忘れていたからざっと説明しちゃうわね。まずは魔術についてなんだけど、魔法は魔物や魔獣が使うスキルみたいなもの。人間や霊王などが使うものは魔術ね。これは基本的に持っている属性しか使えないわ。あなたは無に水と地の三つね。無属性はともかく水と地属性については魔導書が必要になるわ。一番最初だけでいいのだけど、魔術陣を魂に刻む必要があるの。結論、すぐには無理」


 マジか……。異世界転生定番の楽しみが……。


「さくさく行くわよ。次は最優先にやって欲しいことである魔力量増大ね。寝ててもできるから赤ちゃんのときの暇つぶしでやってちょうだい。使い切って気絶の繰り返しだからね。一緒に魔力感知や魔力操作もやるのよ。ちなみにあなたは隠れ鬼族だから、レベル一の時点で魔力量が一千あるわ。通常の獣人族は七十だから言わないようにするのよ」


 魔力量の格差ときたら……。それとレベルもあるのか。


「そうそう、レベルについても言ってなかったわね。魂の格レベルとスキルレベルがあるから、頑張って上げてちょうだい。あとでステータスを見せてあげるんだけど、下界では五歳までは教会でしか見れないからね。しかもお金を払って情報まで流される可能性があるからオススメしないわ。今の教会は生臭坊主と思っておけば間違いないから、当たり障りない態度を取っておけばいいわよ」


 目安としてしっかりと覚えておこう。


「最後にあなたに授ける職業はすでに決まっているわ。まだ言わないけどね。その関係もあって、おそらくだけどあなたは五歳の職業授与の儀式の後すぐに、近くの魔物が蔓延る森に追放されるわ。もしかしたら殺されることになるかもしれないから、体が動くようになったら身体強化や武術スキルを習得するのよ。この点成長の早い獣人族で良かったわ。ちょうど武門の一族だしね」


 最後の最後に爆弾を投下してきた……。魔術という防衛手段がない状態で、再び殺人犯との対峙を強制させられるのか。唯一の救いは、一回目と違って事前に殺されるかもしれないと分かっているところだろう。一回目のときはいきなりだったからな。


 というか、そもそもの話し職業授与の儀式の直後ってことは……職業が問題なのか?


「職業を変えることはできないの。万能チートな職業はこれしかないし、霊王を救出するための職業だと思って全力で創ったから、しばらくは新しい職業を創るのは無理よ」


 俺の心情を先回りして潰してきた。さすが神様だ。モフモフのためと言われてしまえば、俺の口から出る言葉は一つしかない。


「素晴らしい職業をありがとうございます!」


「いいのよー! 力作だから期待していてね! でも、少しお金がかかりそうだから種族特性スキルを使って金策してちょうだい」


「やっぱり親からはもらえないパターンですか?」


「もらえると思う? あなたの父である次期伯爵家当主からしたらほぼ居候よ。食事をもらえれば御の字ね」


「例えば……俺が稼いだお金を取り上げられた場合、盗んで取り返したら犯罪として扱われますか?」


「んーー!」


 あごを親指と人差し指で挟みながら考え込んでしまったアルテア様を、祈るように見続けていたが効果があったらしい。


「そうね。あなたのもとに来る予定だったお金や物が横領されたり破壊されたりした場合は、その分を請求することは犯罪に当たらないようにするわ。それとこれは町や村の中の話よ。森や町の外では自衛のための攻撃は罰せられないから気にしなくていいわ。請求の可否については五歳になるまではほとんど行動できないでしょうから気にせず行動して。五歳以降は職業の機能にくっつけておくわね」


「ありがとうございます!」


「どういたしまして。じゃあ暫定的なステータスを見せるわね」


【名 前】 ・フォン・ピュールロンヒ

【性 別】 男

【年 齢】 0歳

【種 族】 鬼族(隠蔽)

【レベル】 1

【魔力量】 1,000

【魔 術】 無 水 地

【職 業】

【スキル】 

〈行 動〉=ノーマル=

      言語 10(隠蔽)

      算術 10(隠蔽)

〈職 業〉=ノーマル=

      木工 1

      調合 1

【加 護】 創造神アルテアの加護(隠蔽)

【称 号】 転生者(隠蔽)

      使 徒(隠蔽)


 これはやっぱりおかしいんだろうな。隠蔽ばかりだ。でも言語と算術スキル以外は分かる気がする。


「言語と算術スキルは私からのサービスよ。あなたは自己防衛に力を注いでもらいたいから、前世の記憶持ちのあなたには不要な勉強のスキルを、最初から最大レベルであげたの。でもこれを生まれた瞬間から持っていたら化け物でしょ? だからある程度は隠蔽しておかないといけないのよ。貴族や明らかに見た目が違う子どもは出産直後に簡易鑑定をするからね」


 俺の場合はダブルパンチか……。これはバレたらいけないヤツだな。阿呆の子のフリをしよう。


「では次に会うのは五歳の職業授与の儀式のときね。もちろんモフ丸も一緒だから期待していていいわ。それでは霊王のことをよろしくお願いします」


「任せてください! モフ丸、行ってくるな!」


「わふぅ~!」


 直後、体がふわっと浮いたと思ったら意識が遠退いた。



お読みいただきありがとうございます。

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