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第三十七話 問題からの尖塔建造

すみません。

予約投稿の設定忘れてました。

「腹痛ですか? ポンポンしましょうねー!」


「はい。先生……お願いします!」


「ベッドに横になって。はい、ポンポン!」


 可変式ベッドにラビくんを寝かし、聴診器でお腹をポンポンと当てていく。相変わらずモフモフモチモチと柔らかいお腹だ。


「うーん、これは食べ過ぎですね。胃薬を処方しますね!」


「クサッ! それはいやです!」


 顔を背けて暴れるラビくんを左手で押さえ、顔の目の前に箸で挟んだ団子状の丸薬を持っていく。

 少し大きめだが噛まずに飲み込める胃薬だ。


「これを飲まないと痛いのがなくなりませんよ?」


「……口直しを要求します!」


「分かりました。いいでしょう!」


 ラビくんが魔力水を口に含んだことを確認し、丸薬を喉の近くに落とす。直後、素晴らしい反射神経でゴクリと飲み込まれた。


「ウゥゥウェェェーー! は、早く……」


 激マズ胃薬を飲んだラビくんから口直しの催促が来たため、即座にドロン飴を口に放りこんだ。


「う、うまぁーーー!」


「食べすぎなきゃいいのに」


「やっとお肉が食べれるようになったんだよ! 食べすぎても仕方ないでしょ!」


 ラビくんが言うとおり、ここ最近は魔物の解体を後回しにしてもいいからスキルを習得してくれというリクエストに答えて、繰り返しおもちゃで遊んでスキルを習得していた。


 習得速度が異常なほど早い気がしないでもないけど、これもモフモフ好きなアルテア様の加護のおかげだと思えば納得できなくもない。


 ちなみにスキルの習得の確認だけならタマさんが答えてくれ、ステータスを確認したいなら奉納のためにもらった【神珠】に魔力を込めれば確認できる。


 神殿や教会で確認する手順と同じだが、聖職者でない俺が確認できるのは信仰スキルとアルテア様の加護のおかげらしい。


 ありがたい限りだ。


 それと【トイストア】の固有スキルのレベルアップ条件をタマさんが教えてくれた。正直かなり気になっていたことだ。お金も無限にあるわけじゃないから、できれば計画的に使っていきたい。


 条件は二つ。


 まずは購入金額。ただしポイント払いは含まれない。次にレベルに応じた個数の当たりスキルの習得というもの。

 スキルに当たりもはずれもないと言っていたが、その中でも当たりって言ってしまいそうになるスキルなんだとか。


 レベル一の条件は三つの習得と五万フリムの使用。購入金額は達成しているから、あとは当たりスキルの習得だけでレベル二になる。


 知育玩具の種類の多さに驚いたが、そろそろ別のおもちゃも使いたいと思う。特に戦闘系のスキルが欲しい。


 絵本以外の本も読みたい。


 絵本は知識は入手できるけど、直接スキルを入手できないのだ。どちらかというとスキルの補強に使われている気がする。一冊しか読んでいないけど、何故か解読スキルのレベルが上がったのだ。レベルが上がりにくいユニークスキルなのに。


 だから今日もおもちゃで遊び、スキルを習得していこうと思う。全てはモフモフを守るために。そしてモフモフを堪能するために。


「じゃあ今日も美味しい肉を食べれるように日課を熟そう!」


「おぉーーー!」


「ガウーー!」


 ◇


 日課の内容は鬼の住処にいた頃とあまり変わっていない。


 朝は血溜まりの堀の掃除と素材採取のために森の探索をした後、ドロンの干し果実と肉料理という朝ご飯を摂る。午前中は迷宮水没とリソース提供など、迷宮関連を行ってから昼食。

 午後はおもちゃで遊んでスキルを習得した後、魔物解体や素材の処理などを行う。夕方は武術の訓練をして晩ご飯を作ったり、ドロン酒や飴などの加工食品を作ったり。

 夜は風呂に入って生産スキルを習熟した後、魔力訓練をして気絶入眠というハードスケジュールだ。


 基本的に何か起こらない限り、毎日同じような日々を繰り返している。そのせいで、不名誉な呼称をつけられそうになった。


 その名も『ドM魔童』。


 以前からドMらしさはあった。気絶訓練愛好家と呼んでもいいほどに気絶を繰り返していれば、ドMと呼ばれないはずはない。


 気絶という症状は人間の体に異常が起こったときに発生するが、気絶は物凄く怖いことだ。自分の意志とは関係なく意識をなくすことは、まるで死んだように感じられるからで、年齢関係なく気絶する前の兆候で体の限界を悟るはず。


 その兆候を無視した先にあるのが気絶だ。


 記憶持ちの転生者だから気絶訓練ができるんだろ? と思う者が多いだろうが、気絶訓練に関しては記憶がない方がやりやすいと思う。


 俺は前世に病気の影響で気絶したことがあるが、怖すぎて二度と気絶したくないと思ったし、気絶しないようにするためには何をしたらいいかと神経質な性格にもなってしまった。


 まぁ今世は恐怖を乗り越えたというよりも、欲望が恐怖を上回ったことで気絶を繰り返すようになったのだが。


 魔力の化け物と子どもを意味する童に、魔王の韻を踏んだ呼び名ができてしまった。


 こんなセンスがいい名前を考えてくれたのは呑兵衛三人組である。お礼に禁酒というプレゼントを贈ったところ、悲鳴をあげるほど喜んでくれた。



 そんなこんなで毎日を送っているのだが、熊親分もオークちゃんも全く来ないのだ。以前は一週間に一度のペースで決闘場に通っていたし、いろいろ教えてくれていたのだが、拠点確保の翌日に熊親分が来てから一度も来ていない。


 お酒も完成して奉納したから、親分たちにも是非飲んで欲しいんだけどな。


 それと気になることがあるから親分に事情を聞けたらいいなとも思っている。

 この気になることを放置した場合、毎日洞窟周辺に範囲魔術を放たなければならないという面倒事に繋がる気がする。


 今まで日中は洞窟の周辺に魔物は来なかったのだが、最近深層がある南西の方角で何かがあったのか、毎日のように魔物が森から溢れてきて対処を迫られているのだ。


 深層近くにいた魔物が群れとなって来ているから実戦訓練としては役に立つが、毎回地獄を味わっている。最悪堀まで誘導して柵越しで魔術を浴びせるというセコい方法を取ったり、リムくんも参戦したりとスケジュール通りに生活できなくなっていた。


 ちなみにラビくんは、リムくんの背中に乗って指示を出しながら狩りを楽しんでいた。


「本当に何が起きているんだ? 毎日キツいんだけど……」


「師匠としてはありがたい環境だけどねー。あんた迷宮の攻略を水没で済ませているから武術訓練できないし」


「迷宮は魔力圧縮ができたら採掘もしたいので普通に攻略しますよ。でもその前に剣術スキルが欲しいなって……」


「は? 地属性の迷宮に初心者の剣術で挑む気? 相性悪すぎよ?」


「武器強化のスキルも伸ばしたいし、狭い洞窟の中で長柄の棒術は相性悪くないですか?」


 まぁメイスがあるのは知っている。ただロマンを求めてしまっているだけだ。初めての迷宮なのだから、剣を携えて挑戦してみたいじゃないか。当然ロマンが理由だということは天使であるタマさんにはお見通しだろうが、建前と御布施を用意したら納得してくれるかなと淡い期待を抱いている。


「……まぁいいでしょう。確かにいろんな武器を使えるようになってもらわなきゃいけなかったし、魔力圧縮ができるようになればできることも増えるしねー。熊さんナイスってことねー」


 よし。御布施を三人に渡したことが功を奏したようだ。呑兵衛三人組は同盟でも結んでいるのか、功績や報酬を三人で分け与えるから喧嘩が起きない。いいことだけども怪しいと感じてしまう。


「それで熊さんが来ないから南のことが不明って言ってたけど、南のことなんか知ってどうするの?」


「正確に言えば南西です。西に行ってドロンの果実を採取しないと酒に回す量がないんです」


「「はあぁぁーー!?」」「ガウゥーー!?」


「状況を理解していただき感謝します。お酒は嗜好品ですので基本的に後回しにしますから、ドロンの果実の量次第では生産を停止せざるを得ないのです」


「ま、まだある分は……?」


「熊親分たちの取り分ですよ」


 タマさんの光る板から光が消えた。おそらく絶望しているのだろう。ラビくんとリムくんの耳も垂れているから予想できる。


「ドロンの果実を主食にしている俺が、ドロンの果実を食べれないのは看過できないことだから、これから準備をして採取に向かいます!」


 宣言の直後、光が再び板に灯りラビくんとリムくんの耳も上に伸びた。


 絶望からの復活だ。


「本当?」


「もちろんだよ! ついでに様子も見てこようね」


「やったーー!」「ガウーー!」


 俺も心の中でガッツポーズをする。モフモフが抱きついて来てくれたからね。


「じゃあさっさと準備しなさい」


 タマさんは相変わらず酒が関わると指示が厳しくなる。モフモフを切り上げさせようとするなんて鬼だ。


「まずは堀の改造ですね」


「なんでよ?」


「今は少ないですけど、たまに飛行可能な魔物がやってくることと、今回みたいに何かあったときに確認できるように尖塔みたいなものが欲しいなって思ったからです」


「ふーん。まぁ早く終わらせてくれれば何でもいいわよ」


「かしこまりました」


 堀の側面に柵を設置して空いた角のスペースの内、北東と北西に南東の角に一つずつ、合計三つの尖塔を建てる予定だ。


 モデルは絵本に載っていた三体の始原竜で、それぞれの尻尾を洞窟の外周の柵の中に入るように設置する。尻尾を階段に利用できるし、洞窟との行き来も楽になるという設計だ。


 尻尾とは逆の方向に顔を向け、尖塔も兼ねた石像の土台はそれぞれを象徴する形の拒馬槍のようにもなっている。


 モデルの【始原竜】は世界創世の折、神族や霊王たちと一緒に『エクセリク』に降り立った原初の種族らしい。三体だけ生み出された始原竜は最強の生物というお目付役を担い、神族が起こした争いの調停役であったという。


 のちに増えたが、他を寄せつけない圧倒的な力を持つのが【天空竜】【大地竜】【溟海竜】の三体で、今回は絵本に載っていたこの三体の石像兼尖塔を設置した。


「ふ~。なんとかできた」


 黒っぽい石の色でカラフルではないけど、渋くてカッコいいと思う。絵本も全体像が分かる程度で色は黒っぽかったし、実物を見たわけではないから分からないのだ。


「……アーク……、尖塔って言ったじゃん」


「頭の上に乗るんだよ。竜の頭の上なんて滅多に乗れないから、石像で体験してみるっていうのも面白そうじゃない?」


「ここでそれはやめた方がいいんじゃないかな……」


「何で?」


 魔境に始原竜の石像を設置すると不都合でもあるのか?


「それはね、この島の大陸を挟んだ反対側が竜の生息地だからよ。【始原竜】の頭に乗ったところを見られたら殺されるわよ?」


「……肩にまでにします」


 いくら大陸を挟むと言っても、竜は空を飛べるのだ。つまりは距離は関係ない。


 最悪始原竜ではないと言い張るつもりだけど、怒っている竜に言葉が通じるかという不安がある。できればもっと早く知りたかった。


「あまり変わらない気がするけどねー」


「……あまり乗らないようにします。とりあえず竜の問題は放置して、早速ドロンの果実を採取しに森に向かいましょう」


「「おぉぉぉーー!」」「ガウゥゥゥーー!」



お読みいただきありがとうございます。

ブックマーク登録と評価もしていただき、とても嬉しく思っています。

これからも頑張ります。

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