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その少女、黒歴史製造中につき取扱注意!21

「日ノ下」

「ん?」

「辛いことがあったら言ってほしい」

「あ、あぁ」

「協力者は、助ける」

『仲間を助ける行為は物語に欠かせないはずよ』

 どうも以前の図書館で質問に答えて以来、浮雲は日ノ下にある程度の信用を置いているようだった。実際には何の役にも立たなかったにも関わらず。

「なぁ浮雲。お前はなんで観察者なんて信じるようになったんだ?」

「……上位の生命体がいたらそうするはず」

『世界には地球外生命体の目撃情報にあふれているわ。大半は嘘にしても、一部嘘という証拠が取れない物がある。だから地球外生命体は存在する。ならば、その文明はどうして地球人の前に堂々と現れないのか? 今はその時でなく観察に徹しているから、と私は考えたわ。そして、観察するには地球人になって日常に忍び込むのが一番いい』

「ふむ、なんとなくわかったよ。けど、どうして心が読めるって設定なんだ?」

「思念体だから……」

『私の推測だけど、思念体であるのはすなわち心が体であるようなもの。私達が相手の体を見て取れるように観察者は心を見て取れるわ』

「ふぅん……」

 よく考えられたものだね。

 けれど、どこまでいっても推測や思考であり、結局は願望、妄想と言った方が正しいだろう。

 その推測や考えの根拠が薄そうな部分を突いていくとガタが出そうだ。その部分は浮雲自身の推測だから、と言い訳することで自分をだましているのだろう。

 そこで昼休みが終わり、午後の授業もあくびが出るくらい平和に終わった。

 日ノ下は荷物をまとめると、部活に向かうために教室を出る生徒たちの流れにのっかる。向かうのはBHEの拠点だ。

 時々、友達にわかっているくせにお前何部だよと聞かれ、帰宅部を友達に主張すると、「やーいニート!」とか「部活やろうぜ! そっちの方が充実するぜ!」「正義の味方部は立ち上げないのか?」と冗談と誘い文句が飛んでくる。

 今になって思えば、なにか部活に入っていれば現状は変わっていたかもしれない。荷渡にBHEに入れられても「部活があるから」と言ってさぼれていただろう。

 放課後、優雅に帰宅し本を読んだりゲームをする日々はなくなった。いわば社畜のごとき日々――。荷渡という上司の元でこき使われる毎日を日ノ下は過ごしていた。

 BHEに入ってすぐの頃は教室から出ていつも通り家に帰っていた。

 なのに現在進行形でBHEの教室に向かっているのは訳がある。どうせ家に戻っても、用事があれば荷渡が呼び出してくるのだ。めんどくさいから行かないと言えば例の脅し文句だ。

 結局、学校に戻ってくることになる。ならば最初からBHEの拠点にいた方がいいだろう。

 ……家でゲームするよりも形は歪でも人助けになってるならいいか。

 そう自分を慰めながら日ノ下は満員電車の中のような廊下を人にもまれながら行く。

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