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第92話


 意識がぱちりと覚醒した。

 俺がゆっくりと目を開き、体を起こした。


「ヴァー!」


 ぺちぺちと俺の顔を叩いてきたヴァルが、嬉しそうにこちらに跳びついてきた。

 ……良かった。

 俺は安心してぎゅっとヴァルを抱きしめた。


 ……ここは、別の世界ではない。

 『転生』、というのは決して本来の意味としての転生ではなかったということだ。

 

 そうだ。転生、したんだったな。

 俺はすぐに自分の能力を確認する。


『鍛冶師 レベル1 0/10』


 ……これが、俺の新しい鍛冶師のレベル、か。

 まず作製できるものが極端に少なくなっていた。

 レベルに比例して物を作れるようになっているようだが、レベル1の段階ではこの部屋にあるものくらいしか作れる様子がなかった。

 ……あとは、ソード、か。


 まあ、これらは仕方ない。

 そういう契約のもと、俺は転生を選んだんだからな。

 だから――俺は神器の製作ができているはずなのだ。


 俺は自分の眼前に現れたウィンドウを操作していく。

 そうして、俺は一つの項目に到着した。


『神器の製作』


 ……あった。

 これが、これが俺の求めていた力だ。


 俺は口元を緩めながら、その項目を確認していく。

 ……神器の製作は、どうやらこれまで通りといった様子だった。


 何かしらの神器を破壊することで、それの製作が可能になるというものだった。

 ……神器の製作、か。

 まさか、そんなことが可能になるとは思わなかったな。


 ついつい、口元が緩んでしまう。

 しかし……誰かしらの神器を破壊する必要があるようでもあった。


 ……は、破壊された神器持ちの人はどうなってしまうのだろうか?

 破壊されたら、もう使えなくなるのか?

 だとしたら、そう容易に使えるものじゃないぞ!?


「ヴァー?」


 俺が頬を引きつらせていたからか、ヴァルが首を傾げてきた。


「……いや、その。意外と簡単にいく話じゃないなと思ってな」

「ヴァー!」


 まあ、元気だしなよ、とばかりにヴァルが俺の体をとんとんと叩いてくる。

 ヴァルの頭を撫で返しながら、頷く。


「そう、だな。……とりあえず、可能性が増えただけでもマシ、か」


 ヴァルの慰めを受けながら、俺はさらに色々とみていく。

 とりあえず……色々と調べていかないとな。

 まず、鍛冶についてだ。


 これまでと、どれだけ変わったのか……それを調べるためにも、まずは製作を行ってみた。

 とりあえず、部屋にあった椅子を造ってみる。


 作製を行うには、まず眼前に現れた文字を操作していく。

 そして、作りたいものに指をあて、魔力を込めることでアイテムの作製が可能ということになるようだ。

 

 作製すると、いつものようにアイテムボックス的な存在へとしまわれる。

 ただし、これにも容量があるようだった。

 一つものを作製した瞬間、1/10と表示された。


 ……なるほどな。アイテム一つで1増えるようだ。

 つまり、今の俺は10個までしか持てないというわけだな。

 

 そして、物を取り出すときは地点を決められるようだ。

 俺の視界が届く範囲、というところか。

 ……逆に言えば、これを用いれば遠距離攻撃などもできるかもしれない。


 ある意味、使い勝手がかなり上がっている。

 試しに少し離れた場所に椅子を展開してみると、そこに魔法陣が出現し、椅子が現れた。

 ……とりあえず、物の作製に関してはこれまでとそう変わらないな。


 レベルが減ったことで、俺自身の能力も下がったのでは? と思っていたが、魔力などは特に変わっている様子はなかった。

 自分の能力を確認していると、レベルの隣にあった数字が変化していることに気づいた。


 レベル1 1/10になっている。

 いくつか、他にも物を作ってみる。

 と、一つアイテムを作製するごとにレベルが上昇していった。


 ……とりあえずポーションを作製し、それを飲んでいくということを繰り返し、レベル2にあげた。


『レベルが2にあがりました。新たにスキルの付与、作成可能アイテムの増加が確認されました!』


 ……おっ、レベルが上昇した。

 スキルの付与がもうできるようになるとは思わなかった。

 作製可能アイテムの増加、といっても、色々と作れるものが増えただけだな。


 スキルの付与に関しては、とりあえず五つが可能なようだ。

 力強化、耐久力強化、器用強化、俊敏強化、魔力強化。

 この五つのようだ。

 

 試しに俺は剣を作製してみる。魔力を込めると、ソードが出来上がり、そこに力強化のスキルを付与してみた。

 

 ソード 力強化Fランク


 ……力強化Fランク、か。

 スキル付与をそれから何度か行っていく。

 五回ほど繰り返していると、レベルが3に上がった。


 ……スキルの付与のやり直しが、アイテムボックスの容量を圧迫せずにできる効率の良いレベルあげかもしれないな。

 とりあえず、ソードに力強化Sランクが付与できるまで何度もやってみる。


 ……魔力を滅茶苦茶消費し、結局できたのはレベルが5にあがった時だった。

 とりあえず、Sランクの付与はこれまでと比較して大変なようだな。

 作製できるものの幅が増えたが、新しいスキルの付与は今は出ていない。


 とりあえず、滅茶苦茶不便、ということはないな。

 ただ……とりあえず、神器を一度作製してみたい。そういう思いにかられていた。

 と、そんなことを考えていると部屋がノックされた。

 誰だ? と思い廊下に出ると、リスティナさんがいた。


「どうしたんですか?」

「あっ、いやーその。先輩あてに手紙が届いたので、届けに来たんですよ」


 リスティナさんが手紙を渡してきた。

 それを見てみると、リンの名前があった。俺はすぐにそれをあけた。


『久しぶり、レリウス。これから、カルラスの街近くに用事があるんだ。だから、時間があったら会いに行こうと思う』


 内容としてはそのようなものだった。

 俺が手紙を色々とみていると、リンはどうやらカルラスから東に行った街で滞在しているようだった。


 ……リンが戻ってくるのか。けど、時間があったら、か。

 もしも、時間がなかったらこられない、よな?


 ……それなら、これからこちらから会いに行くというのはどうだろうか?


「先輩、どうしたんですか?」

「リスティナさん。俺は今暇ですから、ちょっと東の町、ベルクルに行こうと思います」


 ……どうせ、仕事もないしなぁ。

 俺がそう返事をすると、リスティナさんは少し驚いたようにこちらを見た。


「もしかして、その手紙の……リンさんでしたっけ? リンさんに会いに行くためですか?」

「そうですね」

「……そ、その……。レリウス先輩って、リンさんと幼馴染、なんでしたよね?」

「ああ」

「……す、好き、とかですか?」

「はぁ!? い、いやそうじゃないですっ!」


 いきなり何を言うんだこいつは!

 からかっている、という様子はなく、リスティナさんは純粋に気になっている様子だった。


「ただの、幼馴染です。……まあ、家族みたいなものですかね」

「家族!? もう結婚まで考えているんですか!?」

「違います! ただ、妹みたいな存在なんです!」


 突拍子もないことをいうリスティナさんにため息を返しながら、俺は手紙を見返す。

 ……久しぶりに、会いたいものだな。



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