表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/115

第5話 レベル上げ


 よくはわからないが、先ほど皿を作ったのは、まぎれもない俺の『鍛冶師』の力のようだ。

 問題はこれの使い方だよな。


「……というか、『鍛冶師』って確か、武器の製造を行う職業じゃなかったのか?」


 少なくとも、そういわれていたはずだ。

 だから、鍛冶師は使い物にならないと。


 けど、俺はクリエイトハンマーを使うことで作製できるものが増やせるようだ。

 これなら……生活に困らない程度のことはできそうだ。


 何より、作成可能なものに関して限定ではあるが、宿屋のものが壊れてしまった時にも直せる。

 少しは力になることもできるんじゃないだろうか?


「あとは、レベル、か」


 レベルに関しては聞いたことがあった。

 一部の職業にはそれの力を増やすことができるレベルが存在すると。


 レベルが存在する職業はレアだが、レベルを上げないと一定以上の力が出せないというデメリットがあるとか。

 逆にいえば、あるレベルを超えた際には、レベルを持たない職業よりも強いそうだ。


 レベルの上げ方は簡単だ。

 魔物を倒すことで上がる。


 レベルの隣にあるのは恐らく熟練度だろう。すでに俺は1の熟練度を獲得していた。

 もちろん、魔物を倒した覚えはない。

 となると……先ほどの作成が理由じゃないだろうか?


 とりあえず、やってみるしかない。

 俺は持ってきた皿をクリエイトハンマーで割って、回収する。


 そしてもう一度作成を行う。

 

 新しい皿が出来上がったところで、俺はレベルを確認する。

 2/10になっていた。


 ……どうやら、俺の考えは正しかったようだ。

 とりあえず、レベル2までやってみるか。

 残り8回やったところで、レベル2へとあがった。


 すると、今度はレベル2 0/30という数字に変わった。

 変わったのは数字だけじゃない。

 少しだけ、体も軽くなっているような気がした。


 部屋のものを見てみると、先ほどより作成可能なものも増えていた。

 なるほど……レベルを上げると製造可能なものが増えていくというわけか。


 ちょっと楽しくなってきた俺は、もう一度皿を割って熟練度を稼ごうとするが、今度は一度ではダメだった。

 熟練度が増えるのは皿を二枚作成したときだった。

 

 レベル1で作成できるものだったからだろうか? それなら、レベル2で作成できるものはどうだろうか?

 俺は手近にあったもので、レベル2で作成可能だった椅子を見た。

 

 俺は一緒に渡されていた神器であるハンマーを取り出す。

 それで椅子の足を破壊する。それから、破壊された足と椅子に触れ、脳内で作成して取り出した。

 ……熟練度があがっている。


 どうやら、レベル2になってからはレベル2で新しく作製できるようになったもののほうが熟練度稼ぎの効率は良いようだ。

 ……『鍛冶師』ってなんでも作れるんだなぁ。


 そんなことを考えながら、飽きるまで熟練度稼ぎを行った。

 




 レベル上げを始めて一週間が経った。

 レベルはどんどん上がっていき、俺のレベルが6になったとき新しい変化が現れた。


『魔力を用いてアイテムを作製することが可能になりました』


 そんな言葉が聞こえた。

 魔力を使って作成可能?


 その言葉に首を傾げる。これまでだって、作成に関しては素材と魔力を消費してきた。

 それと一体何が違うのだろうか?

 俺はさっきまで壊していたレベル5で作成可能なベッドへと視線を向ける。


 それをじっと見ていると、作成可能の文字が浮かび上がり、そこに素材が表示される。

 ……何も変わっていないじゃないか、と思ったのは一瞬。


 次には、そのベッドを魔力で作成する、という文字が浮かびあがた。

 ……魔力で作成する。

 

 このベッドを魔力のみで作成できるということでいいのか?

 俺が早速それを発動してみる。

 その瞬間、体内から魔力が一気に失われた。


 一瞬意識がなくなりかけたが、それでも何とか体を起こす。

 そこには、明らかに邪魔なベッドがあった。

 ……俺は額に手をやりたくなった。もう少し小さなものを作成するべきだった。


 とりあえずベッドは回収しておく。分解はせずに、そのまま管理しておいた。

 ……職業って便利なんだな。

 こうやって持ち物を持ち運べるようになっただけでもありがたい。

 

 ひとまずベッドに座りながら、俺は『鍛冶師』で操作できる画面を映し出す。

 最近気づいたのは、別に脳内であれこれ考えなくても、こうして空中に映し出すことができるということだ。


 俺はレベル6になったことで増えた製造可能項目の一覧を確認する。


 レベル5までは、日常生活で使いそうなものばかりであったが、レベル6になったことで新しく武器が追加されたのだ。


 鍛冶師といえば、まさにこれだろう。

 俺は追加されたソード、スピア、アックス、ロッドの四つを確認していた。

 

「……必要なのは、魔石と魔力だけなんだな」


 魔石とは魔物が落とすものだ。

 それと魔力があれば、武器は作れてしまうようだ。


 武器、か。

 金にはならないだろうな。武器なんて、神器があれば誰も使わないものだ。

 

 レベル5までに作れる生活雑貨のほうが、よっぽど金になるだろうな。

 ……確か、そういう職業もあったよな?


 家具製造系の職業もあったはずだ。

 俺もそっち方面に進むのも悪くないかもしれないな。


 ただ、ひとまずは武器の作製だな。

 レベルアップもしたいので、とりあえず魔石を回収しておきたい。

 ……店にいる冒険者にお願いすれば、一つくらいは譲ってもらえるかもしれないな。


 食堂に降りて、軽く事情を説明する。

 といっても、鍛冶師に関して話すつもりはない。


 ただただ、魔石が綺麗と聞いてほしいといったら、最低のFランク魔石を譲ってもらえた。

 俺はそれをもって部屋へと戻った。

 

 早速、装備の作製を行っていこうか。

 俺はまずは、ソードからだ。

 魔石を回収してから、作製という文字に触れる。


 すると、体内から魔力が失われ、ソードが出来上がった。

 と、ソードを手に入れたことでか、新しく作成できる武器が増えた。

 ブロードソード、というものだそうだ。……ソードよりも性能が上なのだろうか?


 こちらは、さらに多くの魔石が必要になるので、作るのは難しそうだ。

 とりだしたソードを調べてみると、ランクが表示される。


 すべてのものにはランクが存在するとわかったのは、鍛冶師のレベルが5になってからだった。

 ランクが高いほど、様々な面で優れたものということだ。


 俺のソードはFランク、だそうだ。

 魔物のランクはFが最低だ。

 

 同じ基準なら、このソードは最低ランクということになる。

 俺は取り出したソードにクリエイトハンマーを叩きつける。


 ソードにぶつけた瞬間、軽い光を放ってからあっさりと壊れた。

 ……これも問題なく破壊できるんだな。


 後に残ったのは素材として使用した魔石だ。

 これなら、レベル6からのレベル上げも問題なさそうだ。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ