第14話 新しいスキル
今日はゴブリンを二十体ほど倒すことができた。
ただ、ゴブリンから得られた熟練度については微々たるものだ。
恐らく、レベルアップだけを考えるなら鍛冶を繰り返していたほうがいい。
とはいえ、ゴブリンから得られた素材で、ゴブリンに関する装備品が作れるようになった。
重要なのは回収した魔石でアクセサリーも作製できるようになったことだ。
アクセサリーならギルドで買い取ってもらえるということだった。
これならば、冒険者として自然に金稼ぎができる。
普通に魔石を売却するよりもずっと効率が良い。
おまけに、ギルドで魔石を購入して売却、を繰り返せば俺の魔力が続く限り無限に金儲けができてしまう。
……つまり俺は、今後お金に困るということはないのではないだろうか。
問題があるとすれば、たくさんのアクセサリーを売却していると、変な目で見られるかもしれない。
ほどほどにしておく必要があるだろう。
結局、週に一度程度にするしかないのかもしれない。
そうなると、自立までは難しいな。
今日獲得したゴブリンの素材を使い、早速新しい装備を作製してみる。
ゴブリンアイアンソードというものがあった。
これは、アイアンソードとゴブリンの素材を合わせて作製できるようだ。
さっそく、作ってみる。
もともと武器につけていたスキルはどうなるのかと思っていたのだが、スキルはやはりなくなってしまう。
ゴブリンアイアンソードになったことで、0/200となった。
余裕ができたので、身体強化、自動帰還、体力強化Sランクの三つを付与しておいた。
今持っているスキルではこれが最強なはずだ。
ただ、今後新しいスキルを獲得していけば、より強力な装備も作製できるはずだ。
他の神器にもあるようなスキルセットなども実現できるようになるかもしれない。
ひとまず、持っていた装備はすべてゴブリンアイアンソードにしておいた。
残っている魔石で、投擲用の武器を作る。
弓矢なども考えたが、俺に経験はないのでやめておいた。
やはり投げナイフだ。
ゴブリンアイアンナイフというものを作ってみると、片手で扱えるサイズだったので、それを二つほど作った。
二つの短剣をすぐに使えるようにしておこう。
ゴブリンの皮を用いて、新しく増えていたゴブリンベルトを作製してみる。
ゴブリンアイアンナイフを入れて置けるナイフ用のポーチがついている。そこにはめてみると、しっくりきた。
ただ、ゴブリンの皮を使って作ったため、少し蛮族感があったが、そこは仕方ない。
装備品はこんなところか。
すべての装備に、とりあえずで筋力強化Sランク、自動帰還Sランクはつけてある。
普段使用しないときはアイテム一覧にしまってしまえばいい。
この職業で一番便利なのはこのアイテム収納能力だと俺は思っている。
明日からはまた宿の仕事だ。
……そうだ。自動回復についても少し調べてみたかったのだ。
明日からは、空いている部屋を見て回りこのスキルをベッドに付与していってみよう。
俺の考えが正しければ、きっと良い効果が期待できるはずだ。
新しいバイトがまた一人増えた。
俺の仕事は週四日になり、休みが三日も増えてしまった。
最近、宿屋は随分と回っているようだ。
この前、商人ギルドの人間がやってきて、新しい店舗についての話をしていたほどだ。
両親は店舗を増やすという考えはないようだった。
とりあえず俺は、自動回復の効果について、期待していた通りの効果が得られたことに満足していた。
「おう、レリウス。やべぇなこの宿!」
受付をしていると、よく来る冒険者が俺に声をかけてきた。
「どうしたのですか?」
「ここ最近な、この宿で休んだ次の日はいつも以上に体が軽いんだよ!」
「それはよかったですね」
自動回復の効果は、二つあるようだった。
まず、付与されたモノが自動で再生していくというものだ。
例えば、壊れても時間が経過すれば治るというような感じだ。
また、身に着けている人間の傷も癒す効果があるらしい。
これらは決して派手なものではないが、例えばベッドに付与しておけば寝ている間に傷のすべてが癒されるというわけだ。
まだ付与してから一週間だが、肉体労働の多い冒険者には効果があったようですでに噂になっていた。
そういえば、この前商人ギルドの人がきていた。
新しい店舗についての話をしていたそうだ。義父と義母は、これ以上は手が回らないと言って断っていたようだが。
仕事ができる人がいれば、俺が家具を用意するだけで、ここと同じだけの宿が出来る。
ただ、それにしたって、義父や義母とはまた違った店になってしまうだろう。
中々すぐにもう一つの店舗、とはいかないはずだ。
俺は忙しい朝の時間だけ勤務に入り、そのあとは自由行動になった。
……まずは市場に足を運ぶとしようか。
新しいスキルが手に入れば嬉しいからな。
お金についても、すべてアイテム収納を使って管理しているので、持ち運ぶものは何もなかった。
市場に向かったところで、店を見て回っていく。
午前中は店を見て回るつもりだ。
……良い装備があればいいんだが。
市場を見て回っていると、武器なども販売されていた。
あれらはすべて安値で取引されている。
というのも、迷宮で魔物を狩ると稀に装備品がドロップするらしい。
武器は大外れ、防具は普通、アクセサリーが大当たりというのが冒険者の認識だ。
武器は骨董品や飾りとしての価値しかない。精々、神託の儀を受けていない人が使うくらいだからな。
それだって、見た目が良いものに限る。
例えば、俺のアイアンソードのようなどこにでもありふれているようなものなんて、食事代にさえならない。
だから、俺としては武器は狙い目の商品だが、そもそも商人も扱うことは少ない。
彼らは金になるものを売りたいんだからな。
ただ、今日ばかりは運がよかった。
「その剣なら安くしておくよ、お兄さん」
「いくらですか?」
「そうだねぇ、500ゴールドでどうだい?」
「さすがに高すぎないですか?」
俺の言葉に商人は笑顔を崩さない。
……ここからは交渉だあ。
それから俺はいくつか交渉をして、500ゴールドだが、魔石をいくつかつけてもらうことに成功した。
……それにしても、やはり装備についているスキルは誰も分からないようだ。
おかげで、面白そうなスキルを獲得することができた。
俺はその剣へと視線を向ける。
スケルトンソード ボーンショットSランク 毒攻撃Sランク 100/100
まさしく骨の剣だ。飾るにしても随分と悪趣味なものだ。
ていうか、呪われていそうな見た目をしているが、このボーンショットというのは初めて見る。
神器の中には、攻撃するためのスキルなどもあると聞いたことがある。
これもきっと、それに近い物なのではないだろうか?
さっそく、試しにいってみないとな。