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第12話 スキル

 

 アルスゥス家の問題は無事解決した。

 それから3日ほど滞在したあと、俺は宿へと戻ってきた。


 別れ際に、フィーラから『また遊びに来なさいよ』と言われたが、一平民の俺が 今後彼女と会うことはないのではないだろうか。


 また会えるのなら会いたいものだ。

 そんなことを思いながら宿に戻った俺は、早速仕事に入った。


 俺がいなくなったのに合わせ、新しい人が入ったらしいがまだまだ仕事には慣れていないようだった。

 俺も彼に色々と教えながら、普段していた仕事をこなしていく。


 ……それにしても、宿屋は賑わっている。

 今までは宿泊客が埋まらない日もあったというのに、今では毎日満室のようだ。


 おまけに、長期で支払いを済ませている客ばかりだ。

 よっぽどこの宿が気に入ってくれたようだ。


 そういう人を見ると、また仕事を頑張らないと、と思えた。


「本当、この店の部屋って居心地いいよなぁ」


 俺が食堂で仕事をしていると、そんな声が聞こえてきた。


「本当な。この部屋のベッドで寝ると、マジで疲れがとれるからな……」

「な? 椅子も座り心地いいし、部屋に関してはそこらの高級宿よりずっといいぜ!」


 それらは俺が作った家具だ。

 ……俺の作ったものが認められているようで、嬉しくなる。


 ついつい口元が緩んでしまう。

 ますます仕事にも熱が入るというものだ。


「おい、レリウス! おまえ、戻ってきたばっかりなんだし今日は早めにあがっておけ!」


 やる気満々で仕事をしていた俺だったが、義父がそんなことを言ってきた。


「別にまだ大丈夫だけど……」

「いいからっ、ほらほら、たまには休めって!」


 ……そこまで言われてしまっては休むしかない。

 それに、新しくバイトを増やしたこともあってか、俺が手伝わなくても随分と余裕そうだった。


 俺はとりかかっていた仕事だけ片付けてから、自分の部屋へと戻っていった。

 やることがなくなってしまった、というわけではない。


 アルスゥス家にいたときはフィーラとずっと行動していたため、試せなかったが俺には新しい力が身についた。


『レベルアップに伴い、作製したものにスキルの付与が可能になりました』


 現在の俺の『鍛冶師』レベルは10だ。

 それにしても、スキルの付与?


『付与できるスキルは現在獲得済みのもののみになります。また、作製したものにつけられる個数はその作製したものごとに決まっています』


 ……獲得済みスキルってなんだ?

 調べてみると、3つのスキルが出た。

 眠り妨害、自動帰還、眠り妨害付与だ。


 この前破壊したものだな。……スキルも、破壊すれば獲得できるのだろうか?

 これを自分で自由につけられるようになった、ということか。


 ただ、今すぐにつけたいものって特にないよな?

 どれも嫌がらせにしか使えないものばかりだ。

 自動帰還くらいは、忘れ物や落とし物をしなくて済むようになるから悪くないかもしれないけど。


 作製できる武器が増えていた。アイアンソードやアイアンランスといった、アイアンとついた装備が増えている。


 また、アクセサリーに関してもいくつか作製できるようになっていた。

 ただ、家具と違い、どれも作製するには、魔石が多く必要となる。

 幸い、アルスゥス家から一ヶ月分くらいの報酬はもらっている。


 素材を買うのは難しくないだろう。

 気になるのはスキルだ。

 装備品にスキルを付与させればよりいいものが出来る。


 そうなれば、もしかしたら俺でも戦えるようになるかもしれない。

 冒険者として生活できるようになれば、これまで抱えていたいろいろな問題すべてが解決できる。


 そのためにも、市場に足を運ぶしかないな。

 部屋の時計を見る。やることないし、行ってみようか。

 お金を持った俺は、それから街へと向かった。


 〇


 冒険者通りについた俺は、立ち並ぶ様々な魔石、アクセサリーショップを見ていく。

 冒険者の人たちは、みんな神器を見えるように装備していた。


 ……鍛冶師が必要ではないくらい、立派な神器を持ち歩いている人たちばかりだ。

 神器をじっと見ていると、俺の目がそれを分析してくれる。


 ハマの太刀 Aランク 切雨Aランク 自動回復Bランク 切れ味Cランク


 ……おお、神器まで分析できるのか。

 やはり神器というだけあって、スキルはたくさんついている。


 むしろ、今みた神器は少ないほうだ。

 さらにじっと見ていると、現時点では作製不可能という文字が出た。

 ……現時点では?


 俺はその言葉に眉間を寄せた。

 ……もしや、もっとレベルをあげれば作製可能になるということだろうか?


 もしも、自在に神器が作れるようになったら凄いことなんじゃないだろうか?

 一度考えると興奮がとまらない。


 神器が作れるようになれば、俺も冒険者として間違いなく活躍できるはずだ。

 頑張らないとな。


 そのためにも、今は新しいスキルを獲得していくしかないだろう。

 店を見て回っていく。

 アクセサリーが並ぶ店を見ていく。


 スキルの獲得条件がわからないため、必要と思ったものは購入していくしかない。

 幸い、スキルランクの高いものだからといって値段が高いということはないようだ。


 神器なら自分のスキルランクまで分かるが、それ以外のものを判断することはできない。


 だから、フィーラのアクセサリーの問題もわからなかったんだしな。


 単純に、見た目の可愛さとかそういった部分で値段はあがるようだ。

 店主に話を聞きながら、時々値引き交渉をしながら高ランクスキルのついたアクセサリーを購入していった。


 とりあえず、今ある手持ちのお金で購入できたものは3つ。

 部屋に戻った俺はそれらのアクセサリーを部屋に並べる。


 ……購入してもスキルは獲得できていない。

 なら、残された可能性としては作製と破壊だ。

 ハンマーを取り出してアクセサリーを破壊する。


 その段階で、スキル一覧を確認する。

 あった、増えているな。


 つまり、スキルのついたアクセサリーをこのハンマーで破壊すれば、スキルが取れるのだろうか?

 それとも、とにかく一度破壊すればいいのだろうか?


 まあ、ひとまずハンマーで破壊すれば獲得できる。

 それだけでもわかれば十分だ。

 今回獲得できたスキルは3つだ。


 自動回復Sランク、体力強化Sランク、筋力強化Sランク。


 この3つだ。

 スキルの効果はなんとなく想像はできる。

 とりあえず、色々と試してみようか。


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