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第112話

現在、コミックス一巻! 書籍三巻発売中です! こちら、コミックス版の書影になります!


挿絵(By みてみん)




 ゴーレムたちは、俺が崩しておいた。

 蒼石の魔物が、門番へととびかかる。門番は持っていた剣を振りぬいて、蒼石の魔物の足を切り裂いた。


 しかし……蒼石の魔物はすぐに再生した。

 門番の顔が青ざめていた。

 ……やはり、男たちは抵抗する手段を持っていないんだ。


 彼らがこの村の指導者に従っている理由は、まさにこれなんだろう。

 身の安全を守ってもらうためなんだ。


「大丈夫ですか!?」


 俺が声をかけながら、剣を抜く。

 蒼石の魔物の一体がこちらを向いた。


「き、キミたちは!?」

「旅をしている者です……この剣を使ってください!」


 俺は一本の剣を男に投げ渡した。

 それは俺が作成した剣だ。

 門番は困惑した様子でこちらを見ながら、剣を握りしめた。


「こ、これは……!?」

「俺が作った剣です。それなら蒼石の魔物を倒せます!」


 俺が言うと、門番は驚いた様子で剣を握りしめる。

 それから、とびかかってきた蒼石の魔物を切り倒した。

 俺とカミラさんも、残っていた二体の魔物を倒した。


「……レリウス、何が目的?」

「まあ、見ていてください」


 困惑した様子のカミラさんに、詳しい説明はしない。

 門番はほっとしたように息を吐いてから、剣を鞘にしまった。

 そして、その柄をこちらへと向けてきた。


「……ありがとう、助かったよ」

「いえ、大丈夫です。ここにも村があったんですね……」

「あ、ああ……そうだ。……き、キミたち。すぐにここを離れたほうがいい。この村は危険だ……っ!」

「……そうなんですか? まあ、とにかく……俺も村を管理しているんです。……俺が作る剣はすべて蒼石の魔物に抵抗できるものなので、今は人を集めているところなんです」

「き、キミの村……が?」

「はい。今は50人くらいはいますかね? できれば合流しようかと思ったんですけど……」

「……そ、それは」


 門番に必要な情報を与えた俺は、それから村の方へと視線を向けた。


 俺は門の奥へと視線を向けると……がたいの良い男が奥からやってくるのが見えた。


 少し、小太りだが、彼は女を抱きかかえたままこちらへとやってきていた。

 右腰には、神器と思われる剣もあった。


「なんだ、蒼石の魔物どもいねぇじゃねぇかよ!!」


 男が怒鳴りつけるようにして、近くにいた男を殴りつけた。

 ……男を呼びに行った門番だ。

 悪いことをしてしまった。

 俺はできる限りの笑顔とともに、彼に声をかけた。


「初めまして、俺はレリウスっていいます」

「あぁ? なんだよ? 保護されにきたのか?」

「いえ、その必要は特にはありません。自分の村がありますので……少し、お話があってこちらに来たんです」

「あぁ? なんだよ?」


 男は俺には一瞥も向けず、カミラさんをじっと見ていた。

 カミラさんは綺麗な人だからな。もうそれに釘付けのようだ。


「俺たちの村に来ませんか? 俺たちの村は今たくさんの人を保護しています。この村の人たちも、保護しようと考えています。もちろん、蒼石の魔物と戦ってくれるという条件はつけますけど……」


 俺の言葉に、男ははっと笑った。 


「ここにいる奴らはな、全員才能なしなんだよ! だから、オレが仕方なく守ってやっているんだよ」

「そうですか。俺にとっては才能のあるなしは関係ありません。剣を振れるかどうかですから」

「あぁ? 馬鹿じゃねぇのか? 蒼石の魔物ってのはなぁ、相性の良い神器でしか殺せないんだよ! そんなのも知らねぇのか!?」


 けけけ、と笑った男に、俺は笑顔で返した。


「俺の造った剣なら誰でも使えて、誰でも蒼石の魔物と戦えますよ?」

「は? 何言ってやがる……っ! でたらめなこと言ってんじゃねぇぞ!」


 けらけら笑った男が、俺の方に腕を伸ばしてきたときだった。

 門番がすっとグベルの首元に剣を向けた。


「……おい、アルダス。なんの真似だ」


 アルダス……門番の男の名前のようだ。


「グベル……そこのレリウスが言った言葉は……本当だぞ。先ほど、私はこの剣で蒼石の魔物を倒したところだ!」

「……な、何を言っていやがる! そんなことあるはずないだろうが!」


 グベルというのがこの村の管理者の名前だ。

 アルダスさんが剣をグベルへと向けた瞬間だった。他の男たちもまた、剣をグベルへと向ける。


「て、てめぇら……っ! そいつの戯言に騙されているのか!?」

「騙されてなどいない! 私はこの剣で、蒼石の魔物を仕留めた!」


 アルダスさんがそう叫ぶと、他の男たちも剣を握りしめる。


「オレたちは、アルダスさんを信じている! この人は嘘をつかねぇ!」

「そちらの男性が造った剣で蒼石の魔物と戦えるのなら、オレたちがあんたの下につく理由もねぇぞ!」

「今まで、散々食い物にしてくれたな……っ!!」


 全員が怒りを込めた目でグベルを睨んでいた。

 グベルは腰に差していた神器を抜き放ち、抱きかかえていた女性を突き飛ばした。

 

「て、てめぇら……っ! 覚悟はできてんのか!?」


 グベルがそう叫ぶと、わずかに男たちの表情が険しくなった。

 ……それなりに、グベルは強いのかもしれない。

 俺はさっさと決着をつけるため、一歩前にでた。


「……俺が相手になりますよ」

「はっ……ぶっ殺してやるよ!」


 俺は右手に剣を持ち、左手にクリエイトハンマーを掴んだ。

 グベルもまた、神器を構える。


 俺の目が彼の神器を鑑定する。


 ソニックブレイド

 神速撃 Sランク


 ……それが、彼の剣のようだ。

 俺はクリエイトハンマーを改めて握りなおす。

 ……彼相手なら、試してみても良いだろう。


「くらえ!!」


 グベルがそういった瞬間、俺の眼前に現れた。

 一発を受けるのは覚悟していた。

 彼の一撃に対して、クリエイトハンマーを合わせる。


 その瞬間だった。

 グベルの神器が砕け散った。


「な!? ば、馬鹿な!? ソニックブレイド! ソニックブレイド! な、なんで消えたんだ!? おい!」

「……」


 俺は隙だらけとなったグベルの顔面にそのままの勢いでクリエイトハンマーを叩きつけた。


 気を失ったグベルを見てから、俺は神器製作の画面を確認する。

 

『ソニックブレイド』


 そこには、グベルが持っていた剣の名前があった。

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