第106話
久しぶりの更新になりましたが、とりあえず第二巻のほう発売しました!
皆様のおかげで、第三巻も何とか発売できそうな感じです!
まだ手に取ってないという方はぜひとも購入していただけると嬉しいです!
地上への着地の瞬間、風が吹き荒れた。
それは、恐らくカミラさんが生み出した風だろう。
それでも、慣れていない俺は着地の際に僅かに腰が沈んだ。
魔物と傷だらけの人の間に着地した俺たちは、すぐに剣を構えた。
「大丈夫ですか?」
俺が振り返ると、傷だらけの人は顔をしかめながらこくりと頷いた。
……良かった、まだ意識はあるようだ。
ポーションを投げ渡しながら、蒼石の魔物たちへと視線を向ける。
……ゴブリン、だろうか?
腕や顔の一部が損傷した蒼石の魔物たちは、俺たちに狙いをつけたのか、雄たけびをあげてからとびかかってきた。
「レリウス、二体は私がやる」
「一体は俺が引き受けますね」
カミラさんはとびかかってきたゴブリンの攻撃をかわし、その奥にいた二体のゴブリンへととびかかった。
ゴブリンと向かい合う。
振り下ろされた棍棒をかわす。拳が振りぬかれたが、あまりにも遅い。
ゴブリンの背後へと周り、剣を振り下ろす。
ゴブリンの身体を抵抗なく切り裂いた。崩れ落ちたゴブリンを蹴り飛ばし、立ち上がらないのを確認してからカミラさんを見た。
カミラさんは華麗な動きとともに、ゴブリンの攻撃をかわし、それぞれを彼女が持つ神器で吹き飛ばして見せた。
……あっさりだったな。
門が開いた。そこからバルドさんとビアンさんがやってくる。
怪我をしていた女性に、ビアンさんが駆け寄り持っていたポーションなどを体にかけ、手当てをしていく。
応急処置が終わったところで、俺は外を見る。
「……中に入りましょうか」
「うん」
その時だった。女性が声をあげる。
「あ、あの……っ!」
「……はい」
女性が唇をぎゅっと噛んでからこちらを見てきた。
「ま、まだ……蒼石の魔物に襲われている人たちがいるんです! た、助けることは可能でしょうか!?」
「……まだ、いるの?」
カミラさんが首を傾げた。
……この周囲にはいない。
「は、はい……散り散りになって逃げたんです。ここから東に行った場所で……別れたので、正確な位置まではわかりませんが」
「……それだと、見つけるのは少し難しいかもしれない」
カミラさんがそういったところで、俺はスキル一覧を確認する。
獲得していた視覚強化のスキルを思い出す。
……これなら、探知が可能だ。
「カミラさん、俺が探知系スキルを持っていますので何とかなります」
「……え?」
「……」
俺はすぐにゴーレムを製作していく。
数は十体、敏捷にかなりの数値を割いた、捜索用のゴーレムだ。
「人間を探してきてほしい。万が一見つけて、蒼石の魔物と戦っていたら守るように戦うこと」
「ゴゴゴ!!」
ゴーレムたちは一斉に走り出す。
これで、何人か見つかってくれればいいが。
カミラさんが驚いたようにこちらを見ていたが、俺は女性に近づく。
「人はどのくらいいるんですか?」
「……六人、です」
「……そうですか。分かりました。カミラさん、俺たちも行きましょう」
「う、うん……バルド、ビアン、その子のこと、お願いね」
カミラさんが二人にそういうと、二人はこくりと頷いた。
俺たちはゴーレムの後を追いかけるように走りだした。
俺は赤魔石のネックレスを造り、それに探知スキルを付与しておく。
Cランク、か。何度か造りなおしてみる。
スキルの付与は以前に比べて、俺のレベルに依存して造られてしまう。
何度か造りなおすと、ようやくSランクができた。
「カミラさん、これが探知系スキルが付与されたネックレスになります。使えますかね?」
「……やってみる」
カミラさんにネックレスを渡してから、使用させてみる。
「……で、できた。ただ、ちょっとなれるまで時間かかりそう」
「……分かりました。それじゃあ、俺たちも二手に分かれましょうか」
「うん……ていうか、レリウスはこんなこともできたんだ……」
「まあ、そうですね」
「本当に優秀な職業……」
……そういってもらえるのは嬉しい限りだ。
レベルをあげてきてよかったな。
東に移動していくと、やがて森が見えてきた。
……森、といってもなんだか禍々しい木々だ。
……さて、ここに人がいるのだろうか。
しばらく森を移動していったときだった。
……ゴーレムがこちらにやってきた。
「どうした?」
「ゴゴゴ!」
……そのゴーレムは片腕を失っていた。
……確かに、今回のゴーレムは捜索用に攻撃面はあまり補強しなかった。
しかし、だからといってゴーレムはそれなりに強いのだ。
「案内、してくれ」
「ゴゴゴ!」
このゴーレムを倒した魔物がいるのか。
俺がゴーレムの案内に従ってそちらに向かう。
と、そこには二体のゴーレムが戦っていた。
その後ろでは、親子と思われる母親と子どもがいた。
そして――ゴーレムの身体が吹き飛んだ。ゴーレムを倒したのは、オークのような魔物だ。
ただ、腹がえぐれていて随分と不気味だった。その両目は感情を失ったように、何度もゴーレムを殴りつぶしていた。
俺はさらにゴーレムを召喚する。今度は戦闘に重点を置いた個体だ。
先ほどよりもガタイのよいゴーレムを五体出現させ、オークへと向かわせる。
「……大丈夫ですか?」
俺はゴーレムが足止めしている隙に親子に近づく。
「あ、あなたは!?」
親のほうが驚いた様子でこちらを見てきた。子供を守るように、抱きしめている。
「……助けに来たものでレリウスといいます。あのゴーレムたちは俺が生み出したものですね」
「……そ、そうなのね」
「お、お母さん、助かるの?」
「ま、まだよ! ……れ、レリウスさん! あのオークは……非常に強いんです!」
そう母親が言った瞬間、ゴーレムの身体が吹き飛んだ。
……マジか。
ゴーレムでも、圧倒されるとは思わなかった。
見れば、オークは五体のゴーレムを一体ずつ確実に片付けていた。
俺は小さく息を吐いてから、ゴーレムに視線をやる。
「ゴーレム、やってもいいか?」
「ゴゴゴ!」
俺は小さく息を吐いてから、ゴーレムにスキルを付与する。
ゴーレムはすべてを理解した後、オークへと突進する。
オークがそのゴーレムに拳を振りぬき、ゴーレムもまた拳を振りぬく。
ゴーレムの腕が押し返されそうになった瞬間、俺はスキルを発動した。
「ウェポンブレイク」
同時、俺は自分と親子の周囲を守るように防壁を展開した。
新連載ありますので良かったら読んでみてください!
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