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第100話

マガジンポケットにて、コミカライズ版の連載が始まりました!

マガジンポケットにて無料で読めますので、どうぞ見てみてください!


また、書籍版2巻のほうも来月8月7日に出る予定です!


 俺は改めて眼前に出現した文字について、確認していた。


『ゴーレムの作製が可能になりました』

『家の作製が可能になりました』


 ……この二つが可能ということは、もしかして――。

 俺はすぐに、新しい鍛冶一覧を確認していた。


 確かに、ゴーレムと家がそこにあった。

 ……家、か。

 これも作製する地点を決め、そこに家を作るようだ。


 ……土台とかそういうのはいいのだろうか?

 そこが純粋な疑問だった。


「どうしたの?」


 不思議そうにこちらを見てくるカミラさんに、俺は苦笑を返した。


「……どうやら、家とゴーレムが造れるようになったみたいです」

「……へ? 家? ゴーレム? あれ、レリウスって鍛冶師、って言ってた?」

「はい、そうですけど……ちょっと俺の鍛冶師は特別みたいなんです」

「特別っていっても……ちょっと特別すぎない?」

「まあ、まだ作ったわけではありませんので。ちょっと、試してみてもいいですか?」

「うん。けど、ここではやめて」

「分かってますよ。上にあがりましょう」


 こくり、とカミラさんが頷き、地上に出た。

 それから俺はカミラさんが暮らしている家の隣の空き地を借りて、家を作製することにした。


 俺は、そこに家を造ろうとした。

 場所を指定して、そこに作製するものを展開。

 

 その瞬間、脳内に部屋の間取りなどの光景が浮かんだ。

 ……俺が正確に造れる家といったら、『渡り鳥の宿屋』くらいだ。

 だから、それとまったく同じ造りの宿を作製していく。


 魔力を込めながら、入り口から部屋の一つ一つまで。家具などは……作製可能なものならいけるようだ。

 だから、キッチンから風呂まで、すべてを脳内で作っていく。

 

 ちりちり、と目の奥が痛い。

 ……かなり、魔力の消費量が多いようだ。

 これでもだいぶ、魔力は鍛えているんだけど、それでも家を造るとなると大変なようだ。


 途中、魔力回復ポーションを作製して口に運ぶ。それから、さらに作業を続けていく。 


 五分ほどかかっただろうか。すべての工程を終えた俺は、それから魔力を込める。……こめまくっていく。

 仕上げでもかなりの魔力が必要になったが――それでも俺は指定した地点に家を造り上げた。


 突然どん、と家が現れた。

 ……見慣れた『渡り鳥の宿屋』がそこにはあった。

 ビクンと飛び跳ねたのは俺の隣にいたカミラさんだ。


「こんなものまで造れるんだ」

「ええ、まあ」


 俺が作製した『渡り鳥の宿屋』は俺が良く知っているものよりも造りが新しくなっていた。

 俺は汗をぬぐいながら、魔力回復ポーションを作製しては飲んでいく。お腹がたぷんたぷんになってきた。


「中、入ってみても良い?」

「はい、大丈夫ですよ」


 カミラさんとともに宿へと入る。

 扉を押し開ける……変なところはないな。

 入ってすぐに受付があり、そこから左手に向かうと食堂がある。


「……わー、すごい。こんなに細かく作れるんだ……」

「ええ、まあ。といっても、ここは俺が暮らしていた宿屋なんですよ」

「な、なるほど……。だから、細かく作れたんだ」

「たぶん、そうですね」


 食堂にはテーブルとイスがずらりと並んでいる。一度に20人程度は食事がとれる大きな食堂だ。

 その奥にはキッチンがある。食事を運ぶための台もしっかりと再現されている。


 俺たちは最初の廊下に戻る。奥へと進むと、風呂場と従業員の控室がある。

 それから、二階へと上がる。

 二階は部屋がずらりと並んでいる。基本一人用の部屋だ。それほど大きくはないが、それでも数はかなりのものだ。


 確か、一度に40人程度までは泊められるんだったか?

 といっても、1人用の部屋を少し大きくして2人部屋、としたものなどもあるからな。

 従業員と両親の部屋として、10部屋確保しているため、実際に使えるのはもう少し少なかった。


 それでも、カミラさんはこの家に感動している様子だった。


「こんな新品の家、久しぶり……」


 カミラさんは一つの部屋に入り、ベッドで横になる。枕に顔を押し付け、嬉しそうにしている。


「とりあえず、家の作製は……細かい間取りまで理解できれば、造れそうですね」

「……それなら、私がこう間取りとか造ったらそれをレリウスに造ってもらうことも可能?」

「はい、だから思いついたら言ってくださいね」

「わかった! ……そ、それとこの宿たくさん部屋あるから……村の子たちを誘っても……いい?」

「もちろんですよ」


 俺がそういうと、カミラさんはぱっと目を輝かせた。


「そ、それじゃあ……さっそくみんなを呼ぶ」

「はい、わかりました」


 俺がそういうと、カミラさんはにこにこと宿を出ていく。

 俺も改めて宿屋を確認していく。

 ……強度とかも問題ないな。すべて新品になったため、前よりも頑丈に見える。


 風呂とかも……問題なく使えるな。シャワーのみであるが、魔力をこめることでお湯が出るようになっている。


 ……水がどこに流れるのか、と思っていたがそれは自動で消えるようだ。

 トイレも同じだ。

 ……むしろ、普通に造るよりも便利じゃないだろうか?

 

 ただし、魔力はかなり消費することになる。

 とりあえず、たぷんたぷんになっていたのでトイレを済ませた。

 トイレから出ると、外が騒がしくなってきたのがわかった。


 村の子たちが集まっているのかもしれない。

 外に出ると、やはりそうだった。

 俺くらいの年齢の子はもちろん、小さな子までたくさんいた。


 みんな、目を輝かせて宿を見ていた。

 俺はすっと片手を宿に向けた。


「ようこそ、『渡り鳥の宿屋』へ。ゆっくりしていってくださいね」


 そういうと、子どもたちが嬉しそうに中へと入っていった。


 



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