第99話
マガジンポケットにて、コミカライズ版の連載が始まりました!
マガジンポケットにて無料で読めますので、どうぞ見てみてください!
また、書籍版2巻のほうも来月8月10に出る予定です!
「久しぶりにみんながこんなに笑ってくれた」
カミラさんとともに彼女の家に戻ると、そういった。
「……そうなんですね。笑顔にできて良かったです」
「これも全部レリウスのおかげ、ありがとう」
「いえ、気にしないでください」
俺がそういって首を振ると、カミラさんは笑みを浮かべた。
「とりあえず、今日はここで休んでいく?」
「……そうですね。ただ、いくつか家具を作ろうと思いますね」
「え、そんなこともできるの?」
「はい」
俺はすぐにベッドの作製に取り掛かる。
まずは一つ作り、それからカミラさんの分も用意する。
俺がそれらを用意すると、カミラさんは目を見開いていた。
「……凄い。これだけのベッドを一瞬で作るなんて……凄い、柔らかい」
「このくらいはすぐにできますよ。……とりあえず、今日休んで明日子どもたちの分も色々と作ってみますね」
「……いいの?」
「はい。……ここが、ルヴェルサス王国である以上……すぐに元の国には戻れませんからね」
「それなら……蒼石の首領を倒すのにも、協力……してくれない?」
「もちろんです」
そういうと、カミラさんは嬉しそうに笑ってくれた。
……別に善意とかではなく、それが俺にとっても必要なことだからだ。
……まず、この国の結界を解除する必要がある。
結界の解除を行うには、蒼石の首領を倒す必要がある。
……蒼石の首領を倒す前に、リンだって見つけなければならない。
「ありがとう……レリウス。とってもとっても嬉しい!」
「……そうですか。とりあえず、今日はもう休みましょう。……俺も色々と疲れてしまったので」
「うん、任せて。隣で温めてあげる」
「い、いや一人で寝られますから!」
くっついてきたカミラさんを押し返しながら、俺はベッドで横になる。
……今はとりあえず、リンが無事であることを祈るばかりだ。
〇
次の日。
朝起きた俺は、子どもたちの家を周っていく。
そして、ひとまず現在ある家具をすべて作り直していった。
「す、すげぇ……!」
「こんなにふかふかのベッドで寝るなんて初めて!」
……みんな、喜んでくれたようだな。
「それじゃあ、次はみんなの武器を作りますね」
「うん……ありがとう!」
カミラさんにそう伝えてから、俺は子どもたちに武器を渡していく。
「……ここにいる子たちは、まだ神器や職業をもらっていない子も多くいますよね?」
「……けど、みんな戦闘訓練は積んでる。自衛できる程度の力は持ってる」
「そうなんですね」
……俺はちょうど、まだ十歳になったばかりの子どもに短剣を渡した。
こんな年齢の子も戦うんだな。
俺の国では、中々ないような光景だった。
みんなに武器を渡し終えたあと、俺はポーションを渡していく。
「これで、怪我とかの治療を行ってください」
「……わぁ、ポーションだ! 滅多に使えない貴重品なんだよね!」
「そうですね。ただ、俺はいくらでも作れますから、少しでも怪我をしたらすぐに使ってくださいね」
「うん! ありがとう!」
ポーションは貴重品か。確かに、この大陸の大地では薬草も満足に育たなそうだった。
……仕方ないのかもしれない。
「レリウス。倉庫にもポーションを保管しておきたい」
「わかりました。倉庫に行きましょうか」
「じゃあ、こっち」
カミラさんが歩きだし、俺はその背中を追う。
共に小さな建物へとやってきた。そこから地下へと下りる。
「……ここが倉庫ですか?」
「うん。村だったときは、懲罰房みたいに使われていた。今は万が一のときの避難所として、貴重品や荷物を置いている」
「……なるほど」
結構しっかりとした造りをしている。
この村は、五十年前。結界を張る以前のままを使っているらしい。
カミラさんや村の子たちに、家を造るような知識などがないためだ。俺も、家具を作るくらいしかできないからな。
懲罰房ということもあり、牢屋のような鉄格子が並んでいる。
……最悪、魔物がきたら、この鉄格子の内側に入って鍵でもすれば、一応身の安全は守れそうだ。
といっても、五十年という時間が経過してしまっているため、随分と古びてしまっていたが。
カミラさんがある一つの牢屋をあける。
そこには色々な荷物、非常食などが置かれていた。
「レリウス、ここにポーションを用意できる?」
「……ちょっと、まってください」
俺は牢屋にものを用意する前に、一つの事実に気付いた。
……紙がいくつかあったのだ。俺はその二枚の紙を掴みあげた。
……俺には読めない古代語だ。
「これは、カミラさん何か知っていますか?」
「……うーん、わかんない。村にあったもの。なんでも、昔はこれを使って村の発展に貢献してたとか言っていた大事なもの、らしい。でも私、古代語は読めない。レリウス読めるの?」
「……俺も読めませんよ。けど……もしかしたら、設計図、かもしれません」
「設計図?」
「はい」
俺は以前自分が設計図を使って獲得した作れるものについて伝えた。
……ハンドガンや竜の卵。レベルが上がり、俺はそれらを再び作ることが可能になっていた。
「……え、凄い。もしかしたら、この設計図で新しいものが作れるかもしれない?」
「はい……ただ、これがただの日記とかメモとかだったら……その、無駄に破壊することになるかもしれません」
「それでもいい。私たちじゃどうしても使い道がない。それに、レリウスには色々とお世話になってる。これで何かレリウスの助けになるのなら、自由に使っていい」
ぐっと親指をたてたカミラさん。
……そういってもらえるのなら、さっそく挑戦してみようか。
俺はクリエイトハンマーを取り出し、早速古代語の紙を破壊してみた。
すると、俺の眼前に文字が出現した。
『ゴーレムの作製が可能になりました』
『家の作製が可能になりました』