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コドクの学園  作者: 初雪奏葉
第七章ー実力
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第七章ー10

     ◆◇◆



 金牧樋春と虹沢透香の出会いは二年前に遡る。

 両者ともに一年生の春。


 鮮烈な出会いだった。


 樋春が、不意打ちで透香を殺しにかかったのだ。

 樋春にとって、四度目の選定式だった。既に能力を発現させ、当時の生徒会長に気に入られていたこともあり、一年生にして、相手校へ乗り込み虐殺を行う『攻撃班』の一人に数えられていた。

 対して、透香は二度目の選定式。

 能力は発現させていたものの、まだ実戦経験が乏しく、特に『加速能力』に関しては振り回されることも多かった。

 乗り込んで来た樋春たち第三高校の生徒に、二色の髪色を持つ透香は標的にされた。

 樋春は逃げ惑う透香の目の前へ、突如大仏を出現させ、殺すつもりで仕掛けた。

 透香はなすすべもなく殺されるところだったが――


 それを阻止した人物が、龍海権蔵だ。


 一度目の選定式で透香のポテンシャルに気付いた龍海は、本人には内緒で、密かに透香の護衛として張り付いていた。後に、透香から『ストーカー事件』として罵られる案件なのだが……透香と龍海がタッグを組むきっかけにはなった。

 結局、その時の選定式では、龍海の鉄壁の守備を崩せず、樋春は透香殺害を失敗している。


 それから二年。


 計、五回にも及ぶ選定式で、三人は幾度となくぶつかった。

 樋春にとって、初めての選定式で自身を守ってくれた、優しくて頼もしい先輩は透香に殺された。

 選定式を変えると誓い合った同級生は、龍海に殴り殺された。

 守ると決めた一つ年下の後輩は、氷の狼に食い殺された。


 ――けどまあ、それは向こうも同じか。


 樋春は透香と向き合い、思い出す。

 透香だって、龍海以外の友人がいなかったわけではない。

 トータルで考えれば、こちらの方が殺された人数は多いし、その分、敗走を余儀なくされた回数も上かもしれない。

 それは認める。

 では、やられ放題だったかと言えば、そうではない。

 樋春が守備に徹するようになってからは特に、こちらの実力を知っているからか、透香は信頼できる者だけを連れて来た。


 そいつらは、皆殺しにした。


 透香や龍海のような、保持者の中でも最高クラスの手練れはそうそういない。

 ほんの数秒の油断、慢心を刈り取るのは簡単だった。

 龍海がいくら鉄壁を誇ろうと、その能力は自分にしか作用しない。

 加えて、龍海が最優先で守っているのは透香であり、他の者を殺すことは樋春にとって苦ではなかった。

 透香はいつも、こちらばかりが痛手を負っているかのような発言をするが、そんなことはない。


 ――あたしたちは、互いに恨み、殺したいと思っている。


 なればこそ。

 今回の、このチャンスを逃すわけにはいかなかった。

「あの子、なかなかやるね」

 透香は龍海と一年生たちの戦いへ目を向けていた。

「あの子?」

「女の子。ちゃんと、見えてる」

「……」

 その言葉には、反応しない。

 どう思っているのか、悟られたら標的にされる。

「雰囲気は違うけど……あんたと似てる気がするよ」

「似てる?」

「うん。あの子、ひょっとしてお気に入り?」

「さあね」

 平静に、どうでもいいことのように答える。

 透香の視線の先にいるのは綾乃だ。


 ――さすがに、目ざといな。


 似ているかどうかともかくとして、綾乃が一年生の中で頭一つ抜けているのは確かだ。

 持ち前の対応力と、その場で自分がなにをすべきか考えられる思考力、そして、決断力。能力の扱いや戦闘技術だけの話ではない。綾乃本人に自覚はないだろうが、彼女は既に、前線で戦っても、十分生き残れる域に達している。

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