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コドクの学園  作者: 初雪奏葉
第六章ー二人の想い
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第六章ー16

 ――凄い。


 見ていた黒江はその発想力に息を飲む。

 能力の運用、技術力が黒江たちとはまるで違う。。

 しかも、普通であれば、この時点で予想外の回避方法に驚き、攻撃が止まってもおかしくないが――


「その場しのぎでどうにかなるとでも?」


 樋春は追撃の手を緩めない。

 冷静に、冷酷に攻め立てる。

 次々と大仏を出現させ、赤之城へさらなる攻撃を繰り出していく。

「こんな、もの! 気合いっ、で!」

 大仏の重厚な拳が、蹴りが、爆撃のように襲いかかってくる中で、赤之城も落ち着いていた。

 余裕はないのだろうが、その全てを回避する。


「破あああっ!!」


 そして、ひと際大きな気合いの声と共に、大仏の蹴りに拳を合わせる。

 ガオンという鈍い音がして、両者が弾かれた。

 赤之城も衝撃で吹き飛んだが、大仏の足も破壊された。

 結果的に距離ができる。

「ほう。やるな……?」

 樋春はようやく、攻撃を一時中断した。

 足を壊された大仏はバランスを崩し、そのまま倒れ込む。

「見くびらないでもらいたい。お前の能力の欠点は知っているぞ」

「む? というと?」

 樋春問いかけると、赤之城は立ち上がり、ビシッと指を指して答える。


「大仏は破壊されると、しばらく直らない! そうだろう!」


 がははと、赤之城は倒れ込んだ大仏を見下す。

「え、クロ、知ってた?」

「いや、初めて聞いた。そもそも俺らじゃ会長の大仏を破壊することなんてできないし」

「だよね」

 綾乃と短く言葉を交わす。

 樋春の大仏操作の欠点など聞いたことがなかった。

 強いて言うなら、綾乃の灰球より速度と数が出せないこと、程度だと思っていたが、そうでもないようだ。

「ふむ」

 否定せず、思案顔で黙る樋春を見ると、本当のことらしい。

 樋春が出現させられる大仏は、全部で十八体だと聞いている。

 赤之城の言葉が真実ならば、足を破壊された大仏はこれ以後、少なくとも今回の選定式中は、使い物にならないということだ。

 今はまだ一体でも、長期戦に持ち込めば能力を無力化することも可能となる。

 現状、どちらが優位かと問われれば、間違いなく樋春だと答える。赤之城の衝撃波が弱いわけではなく、単純に、樋春が力で勝っている。

 ただ、決めきれていないのも事実だ。

 赤之城がこのまま逃げ続け、大仏を破壊することができれば、ひょっとしたら勝ち目はあるかもしれない。



「で? それが?」



 などと考えてしまった自分を恥じた。

 樋春は倒れ込んだ大仏を消し、悠然と歩を進める。

 その姿は、王者の貫禄と、強者の誇りに満ちていた。

 強力な衝撃波を放つ相手の間合いへ、躊躇なく踏み込んでいく。


「弱点? それで? 突破口が見えたかい? やってみたまえよ」


 挑発するように、樋春は白い歯を見せ、接近する。

 ついには、超至近距離――格闘戦の間合いに入る。

「言われなくとも!」

 衝撃波を扱う赤之城にとって、これ以上の侮辱もないだろう。

 赤之城は一メートルの距離にいる樋春へ、右の拳を突き出した。

「甘いよ」

 樋春はあろうことか、ほんの少し左側へずれ、突き出された拳より前へ、さらに接近することで衝撃波を回避する。

 拳から衝撃波が出るのならば、それよりも内側へ入ってしまえば避けられるのは通りだが、そんな離れ業ができる人間は数えるほどしかいないだろう。

 黒江のように、自身の体が強化されているわけでもなく、ましてや、樋春の主力武器は大仏操作だ。格闘戦が主体ではない。

「このっ」

「遅いよ」

 驚き、咄嗟に左拳を樋春の脇腹へ打ち込もうとした赤之城だが、それも樋春は読み切っていた。

 衝撃波が発生する前――拳が動く前に、赤之城の左拳を、樋春は右手でガッチリとホールドする。

 そのまま、無理やり左拳を引っ張り、体勢を崩す。

 直後、


「終わりだ」


 赤之城の背後に出現していた、五メートルほどはあろうかという巨大な大仏が、その大きな足で赤之城の体を蹴り抜いていた。

 赤之城の体は高く打ち上げられ、体育館の床へ落ちる。

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