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コドクの学園  作者: 初雪奏葉
第六章ー二人の想い
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第六章ー11

     ◆◇◆



 土砂降りの雨だった。

 選定式当日、黒江たちは自身の教室で開始の合図を待っていた。

 樋春との最終ミーティングはほんの数分で終了した。

 敵校についての情報は詳しく教えてもらっていたし、今更、あれこれ考えても仕方がなかった。

「お前ら、なんかあったのか?」

 別クラスの綾乃と別れてから、博也にそう問われた。

 特別隠す理由はなかったが、だからといって、全て喋ってしまうのは綾乃に申し訳ないので、「ちょっとね」と答えておいた。

 博也はなにを思ったのか、にやっと嫌らしい笑みを浮かべていたが、断じて、そういうことはない。

「よーし、お前ら席につけー」

 開始十分前。

 担任の桜波太郎が教室へ入ってくる。

 いつも通り、よれよれのシャツを着ていた。

「えー、では、これより選定式を始めます」

 ピンク色の髪の毛をわっしゃわっしゃとかき混ぜながら、間の抜けた声で宣言する。

 選定式について、まだ把握できていないクラスメイトたちは、怪訝な顔をして周囲を見回している。

 この光景にも慣れつつあった。

「注意事項だけは守れよー」

 平坦な口調で説明する担任を、黒江は軽く睨み付ける。

 黒江がこの世界へ転移してきた日、出迎えたこの人は、彩粒子を操っていた。

 樋春は言っていた。

 保持者の中にも、この世界の住人に味方する者がいると。

 選定式を勝ち抜き、生き残れば、選定式を運営する側として、この世界の住人となれる者がいると。


 余計なことを考えている暇はない。


 なによりもまず、生き残ることが最優先だ。

 それでも、思ってしまう。


 ――あんたたち教師は、なにを考えてそこに立っているんだ。


 佳那を失い、選定式を変えたいという気持ちはより一層、強まっている。

「じゃあ、ま、お前ら、頑張れよー」

 桜波教師は、投げやりな態度でそう言い残し、教室を去っていく。

 選定式開始まで、あと数十秒だ。


 ――三度目の選定式。これを超えれば、もっといろんなことを教えてもらえるはず!


 黒江は、内ポケットに忍ばせてきたスマホに触れて。


「……行くよ、佳那」


 携帯食料として持参していた米粉パンを一かけ口の中へ入れ。


 チャイムの音とともに、立ち上がった。



     ◆



 開始のチャイムと同時に席を立つ。

 周囲から注目を浴びているのが雰囲気で伝わって来た。

 黒江たちの行動は、さぞ不審に思えるだろう。

「黒江」

「行こう」

 クラスメイトたちへ心の中で謝りつつ、廊下へ出る。

 一組の方へ視線を向けると、ちょうど、綾乃も教室から出てきたところだった。

「急ごう」

「うん」

 短く言葉を交わし、綾乃と合流。

 予定通り、廊下を駆け抜け――


「一年生の中にも機敏に動けるものがいるのだな、感心だ!」


 ――駆け抜けようとして、背後から喧しい声が響いてきた。

 一瞬、ドキっとした。

 開始直後から、要注意人物である虹沢透香と龍海権蔵に出くわすなんてことは避けたかった。

 振り向き、別人だと把握して安堵する。

「開始と同時に廊下へ出るの、マズイのかな?」

「教室にいる方が危ないでしょ」

「次から廊下じゃなくて、窓から避難するか?」

 三人で冷静に分析する。


「おい待て! 正々堂々勝負しようじゃないか!」


「ヒロと同じ色っぽいね」

 相手の髪の毛の色は、燃える赤色だ。

 厳密には違うのかもしれないが、ぱっと見では博也の髪の毛と全くの同系色だった。

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