第四章ー12
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樋春が六人を一度に相手取ったのは、理由があった。
その六人が対戦校である国立転移第四高等学校の、三年生チームだったからだ。
今まで考えたこともなかったが、転移学校は全て合わせても二十校しかない。選定式で長く生き残れば、同じ学校と何度も対戦することになる。
そうなれば、同じ相手と何度も戦うことになり、実際に戦わなくても、主力生徒の情報を知る機会が増えることとなる。
樋春が邂逅した第四高校の六人は、主力として活躍していた者たちだった。樋春自身が怪我をしてしまったこともあり、全員を殺しきれなかったらしいが、最前線で戦う主力級の生徒は軒並み潰せていた。
残り八時間、どんな地獄が待ち受けているのかと警戒したが、樋春が無理してくれたおかげで、命に関わるような状況には一切ならなかった。
それどころか時間を持て余し、今まで知らなかった選定式のルールやセオリーなどについて、樋春から詳しく聞くことができた。
その中でも参考になったのは、
基本的に各校の主戦力は二手に分かれることになる。
というもの。
選定式の性質上、相手校の生徒を殺しに行くことが最重要ではあるが、逆に、殺されすぎても学校値は下がる。
そこで、ほとんどの学校は、敵校に攻め入り相手を殺す『攻撃班』と、自身の学校で敵の攻撃を妨害し、生徒たちを守る『守備班』に分かれて戦うことになる。
「うちの学校は、会長のあたしと副会長の子が守りに入ってるよ」
とは樋春の言葉である。
樋春が遊撃として敵の戦力を削ぎ、副会長が一年生たちに紛れて支援しているそうだ。
そして、肝心の攻め手だが。
「ひょっとしたら、あたしより強いかもね」
と樋春は笑いながら言った。
生徒会の残りのメンバーは全員、攻め手に回っている。
その数は五人。
黒江たちにとって、『樋春より強い人間』なんて想像できなかったが、それほどの実力者が揃っているらしかった。
初耳だったのはそれだけではない。
攻め手となるメンバーも、状況によっては選定式中に魔戸を使って自校へ戻り、防衛に当たることもできるらしい。
そのため、前日に発表される相手校によって、攻撃と守備のメンバーの割合を変えたり、いろいろと作戦が必要なのだとか。
そんな話をしている間にチャイムが鳴り。
黒江たちにとって、二度目の選定式は幕を閉じた。




