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コドクの学園  作者: 初雪奏葉
第二章ー鬼ごっこ
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第二章ー7

     ◆



「予想が当たっただけだよ」

 鬼ごっこを終え、生徒会室へ集まった一年生チームに対し、樋春は事もなげに言った。

 樋春は生徒会室右奥に設置されている冷蔵庫から、『レモン&マロン』と書かれた清涼飲料水を五本取り出す。

「まず、男子二名」

 ペットボトルを黒江と博也に手渡す。

 冷えた飲み物は嬉しかったが、果たして美味しいのだろうか。

「二人はこの間の選定式で、一気に最上階まで逃げてきたよね」

「はい」

「黒江君に着いて行った博也君は微妙なところだったが……おそらく、無意識の内に、上へ上へと逃げていく癖があるのではないかと予想したんだ」

 話しながら、樋春は自分のペットボトルを開け、ごくごくと飲む。

「最初の五分間、あちこち走り回りながらそれを確認した。男子二人は、分かりやすくその傾向が出ていたね。上へ上へと逃げるのなら、最上階へ追い込めば、あとは下へ降りるしか選択肢はない。先回りすることも容易だ。……怪我をしていた博也君は、あっさり捕まえられたし、黒江君に関して言えば、綾乃さんを見つけたと嘘をついて、先回りしただけだよ」

 そして、と樋春は続ける。

「白鳥佳那さん」

 ペットボトルを彼女の目の前に置く。

 佳那は、置かれたその物体をどうしようか迷っているのか、じーっと見つめ、硬直する。

「君に関しては、運が良かったというだけだ。おそらく下へ下へ逃げる癖があるのかな? 彩粒子の能力を考えれば、上へ逃げそうなものだが……。まあとにかく、追いかけてみたら、面白いように玄関へ行ってくれたからね。校舎内というルールがある以上、そこで終わりだったね」

「……いただきます」

 自分の話が終わると、佳那は意を決したようにペットボトルに口をつける。

 ごくりと一口飲むが、すぐにペットボトルをテーブルに戻す。

 そして流れるような動作でポケットから米粉パンを取り出すと、もっすもっすと食べ始める。

 口に合わなかったようだ。

「最後、灰霧綾乃さん」

「ありがとうございます」

 綾乃はペットボトルを素直に受け取り、そのまま口をつける。

 やはり口に合わなかったようで、綺麗な形をした眉がぴくぴくと動いていた。

「君は、どう感じた?」

「え? 私が、ですか?」

「そうだ」

 綾乃はペットボトルを置き、うーんと腕を組む。

 樋春ほどではないが、綾乃も同世代の女子の中ではスタイルが良い。豊満なバストが強調される姿勢になり、黒江はなんとなく目を逸らした。

「正直、追い詰められた感じはしませんでした。力づくで抑え込まれた印象でしたね」

「そうだ。君には癖と呼べるものがなかった。黒江君を捕まえた後、十分間、君を捕捉して、ずっと追いかけていたが、最後まで癖と言えそうなものはなかった。おそらく、その場の状況に応じて判断しているんだろうね」

 君を捕まえるのが一番苦労したよ、と付け足した。

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