第二章ー4
「じゃあ、俺らに話しかけてきたのはなんでだ?」
博也はあくまでケンカ腰だった。
どうしても、女子たちの軽いノリが気に食わないようだ。
対する綾乃は気にした様子もなく、むしろ博也の反応を面白がるように、にやりと笑って答える。
「せっかく生き残ったんだから、生き残った者同士、仲良く、にゃんにゃんできないかなーって」
「……」
「あ、本気で怒った?」
「吹っ飛ばすぞ」
「ごめんごめん」
綾乃はあははとひとしきり笑ったあと。
「生徒会長、金牧樋春のところへ、連れて行ってくれない?」
やはりあっけらかんとした口調で、綾乃はそう言った。
◆
放課後まで、休み時間の度に集まり、詳しく情報交換すると、黒江たちが知らない情報もいくつか知ることができた。
まず一つ。
転校生――白鳥佳那は、前回、四月第二週目の今年度一度目の選定式には既に転生していたこと。
周囲と馴染もうとせず、自由気ままに過ごしているように見えたのは、それが理由だった。何も知らないクラスメイトたちと仲良くしても、次の選定式でまた、大勢死ぬと理解していたからこその行動だった。
綾乃の方は、黒江たちと同じく、今回の選定式が初参加だった。
綾乃の軽い態度から、もう何度も経験しているように感じるが、そういうわけではないらしい。
本人曰く、「私は切り替えが早いからね」、だそうだ。
情報二つ目。
所謂、『能力』について。
情報交換をして、黒江たちにとって最も有益な情報がこれだった。
相手校の生徒や樋春の大仏操作、綾乃が生み出す鉄球に関して、女子生徒二人は情報を持っていた。
彼女らの言葉を借りるなら、
彩粒子の色に近いナニカが能力として発現する。
樋春の彩粒子は金色。
綾乃の彩粒子はグレー? シルバー?
木人の彩粒子は緑色、大剣使いの彩粒子は紅蓮だった。
そして、白色の彩粒子を纏う佳那の能力は『飛行』。
自由に空を飛べる能力だ。
基本的に、場所や時間など、能力を使うのに制限はかかっていないようだが、問題は、イメージできなければ使えないという点だ。自分の彩粒子の色から連想できる能力を、片っ端からチャレンジしていくしかないらしい。
そして、情報三つ目。
生徒会長、金牧樋春について。
これに関しては、黒江たちの方が情報を持っていたが、佳那が一度目の選定式で、樋春が無双している様子を上空から確認していた。
他にも応戦している生徒はいたらしいが、やはり、樋春の強さは群を抜いていた。
昨日行われた選定式中、鉄球の上に乗って上空へ退避していた綾乃と、飛行能力で同じく上空へ避難していた佳那は、一度目と同じく、樋春が無双している姿を目撃していた。
当然、その後ろをついて回る男子生徒二人も、女子生徒二人から確認されていた。
「俺らは何も口出さないからな」
「それでいいよ」
あっさりとした調子で綾乃は笑う。
放課後、南校舎六階、生徒会室前。
樋春に会わせろと強引に迫って来る女子二人に根負けし、黒江と博也は二人を引きつれ、生徒会室へやってきた。




